<新興国eye>前週のブラジル株、資源セクター下げ主導やハダド財務相発言に3週続落=BRICs市況

新興国

2024/6/10 8:56

 前週(3-7日)のブラジル株式市場は7日のボベスパ指数が前日比1.73%安の12万0767.19、週間ベースでは5月31日終値比1.09%安と、3週続落した。

 週明け3日は指数が下落、5日まで6営業日続落した。6日は反発。

 週前半は、米株市場が軟調となり、ブラジル市場でも売りが優勢となった。また、国営石油大手ペトロブラスが原油価格の下落により、鉱山大手ヴァーレや鉄鋼大手のゲルダウとコンパニア・シデルルジカ・ナシオナル(CSN)も鉄鉱石相場の下落が嫌気され、いずれも急落、下げを主導。その後は、引き続き、コモディティ(国際相場商品)相場の下落が嫌気され、ペトロブラスやヴァーレ、ゲルダウ、CSNが下落、一段と売りが強まった。また、1-3月期GDPが前期比0.8%増と、市場予想以上に強かったことを受け、一時相場が押し上げられたが、インフレ上昇による金利上昇懸念が勝り、売りが強まった。

 週後半は、依然、原油と鉄鉱石の価格下落により、指数構成ウエートの25%を占めるペトロブラスとヴァーレを中心に資源株の下落に歯止めがかからず、相場を押し下げた。また、米5月雇用統計が週末に発表されるため、市場では積極的な取引を避けたことも地合いを悪化させた。その後は、コモディティ相場が反発、これまで下落していたペトロブラスとヴァーレが買われ、上げを主導した。アパレル大手レナー・ストアーズも投資判断の引き上げを受け、急騰。また、ECB(欧州中央銀行)が金融政策決定会合で0.25ポイントの利下げを決定したことも好感され、支援材料となった。

 週末7日は急反落。フェルナンド・ハダド財務相が有力投資家との懇談で、財政健全化のため、財政支出を制限する新財政枠組みが一時棚上げされ、財政支出拡大という不測の事態が起こる可能性を指摘したとして、売りが優勢となった。また、米5月雇用統計が強い結果となったことから、米利下げの開始時期とペースが遅れ、年内の利下げ回数は従来予想の2回から年末の1回に減るとの懸念も売り材料となった。

 今週(10-14日)の株式市場は、中東紛争やウクライナ情勢、西側の対ロ制裁などの地政学的リスク、台湾情勢や米中関係の悪化懸念、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、ルラ政権の経済・財政・税制政策も注目される。主な経済指標の発表予定は11日の5月IPCA(拡大消費者物価指数)や12日の4月サービス業活動指数、13日の4月小売売上高、14日のGDP伸び率の先行指標となっている4月IBC-Br(経済活動指数)など。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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