FOMC、政策金利を据え置き―年内利下げ回数予想を3回から1回に引き下げ

経済

2024/6/13 8:42

<チェックポイント>

●年内2回の利下げ予測は8人に増加―市場も2回を予想

●声明文では「物価目標に向けた進展みられず」の文言削除

●パウエル議長、「インフレ率が急低下すれば対応する用意がある」と

 FRB(米連邦準備制度理事会)は12日のFOMC(公開市場委員会)会合で、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を5.25-5.50%(中心値5.375%)に据え置くことを全員一致で決めた。市場の予想通りだった。据え置きは7会合連続。

 今回の会合で発表された最新の経済見通しでは、24年末時点の政策金利を5.1%とした。1回の利下げを0.25ポイントとした場合、現在の水準から1回分の利下げとなる。3月の予測では4.60%で、年内3回の利下げを見込んでいたため、大きく引き下げられたことになる。19人のFOMC委員による金利予測を示す「ドット・プロット」では、24年の政策金利を4.50-4.75%(年3回の利下げ相当)と予想した委員がいなくなった。前回3月予測時は9人が予測していた。代わり、利下げがゼロもしくは1回と予測している委員が11人となっている。ただ、2回の利下げに相当する4.75-5.00%も8人(前回は5人)に増えた。

 このほか、GDP(国内総生産)の見通しについては、24年が2.1%増、25年は2.0%増、26年は2.0%増と、いずれも3月予測時から据え置かれた。失業率は、24年が4.0%に据え置かれたが、25年は4.2%(3月予測時は4.1%)、26年は4.1%(同4.0%)に引き上げられた。

 また、PCE(個人消費支出)物価指数で見たインフレ率の見通しは、24年のコア指数が2.8%上昇(3月予測時は2.6%上昇)、25年は2.3%上昇(同2.2%上昇)に引き上げられた。26年は2.0%上昇に据え置かれている。インフレの全体指数も、24年が2.6%上昇(3月予測時は2.4%上昇)、25年は2.3%上昇(同2.2%上昇)に引き上げられたが、26年は2.0%上昇に据え置かれた。

 声明文では、インフレ率について前回会合時の「物価目標に向けた進展がみられない」との文言が削除され、代わりに、「FRBの2%上昇の物価目標に向けて緩やかながら進展が見られた」との文言が追加された。ただ、「インフレ率が2%上昇に向けて持続的に推移しているという確信がさらに高まるまでは政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を引き下げるのは適切ではないと考えている」との文言は残された。

 パウエルFRB議長は会見で、インフレ率の現状認識について、「インフレ率は依然として高すぎる」とし、警戒感を緩めていない。一方、年内の利下げ回数については、「(1回となるか2回となるかは)どちらの予測もありうる」とした。議長は、「インフレ率が予想よりも急速に低下した場合、FRBは対応する用意がある」と述べている。

 市場では24年が年1回の利下げ予測となったものの、年2回の利下げを予想する委員が8人に増えたことから必ずしもFRBのタカ派姿勢が強まったとは見ていない。市場では2回の利下げを織り込んでおり、一部では今回の金利予測は、FOMCの結果公表前に発表された5月CPIが考慮されていないとの見方もある。

 次回会合は7月30-31日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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