【為替本日の注目点】ドル円、日銀決定会合後に158円台に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
日銀決定会合と植田総裁の会見を経て、ドル円は一時158円25銭まで買われたがその後反落。NYでは米金利の低下もあり156円96銭まで売られる。ユーロドルは続落。1.0668まで売られ、約1カ月半ぶりの安値に。株式市場ではダウがこの日も下げ4日続落。一方ナスダックは小幅ながら買われ、先週全ての営業日で最高値を更新する。債券は続伸。長期金利は4.22%台に低下。金は反発し、原油は小幅安。
5月輸入物価指数 → -0.4%
5月輸出物価指数 → -0.6%
6月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 65.6
マーケット情報
ドル/円 156.96 ~ 157.49
ユーロ/ドル 1.0668 ~ 1.0707
ユーロ/円 167.63 ~ 168.40
NYダウ -57.94 → 38,589.18ドル
GOLD +31.10 → 2,349.10ドル
WTI -0.17 → 78.45ドル
米10年国債 -0.023 → 4.221%
本日の注目イベント
中 中国5月小売売上高
中 中国5月鉱工業生産
米 6月NY連銀製造業景況指数
米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
米 クック・FRB理事講演
加 カナダ5月住宅着工件数
ドル円は、先週末の日銀金融政策決定会合の結果が発表された昼過ぎには157円台後半まで買われ、午後3時半からの植田総裁の会見が始まると、158円25銭まで一気に上昇する場面がありました。ドル円はその後ジリ安の展開にはなりましたが、底堅さは続いています。今回の会合で日銀は政策金利据え置きを決め、注目されていた長期国債の減額については、減額する「方針」は決めたものの、具体的な内容は次回7月会合で決めることを発表しました。国債減額への期待が高かったことと、利上げに対する言及がなかったことで円売りが加速したものと見られます。決定直後には「決められない日銀」といった言葉も市場から聞かれ、マイナス金利の撤廃やイールドカーブコントロール(YCC)の解除でも、市場期待からは相当遅れて決定されたことを挙げていました。
国債の買い入れは、次回会合の7月30-31日までは月間6兆円程度としている従来の方針に沿って実施され、7月の会合で具体的な額が決められる模様です。植田総裁は会見で、「減額する以上、相応の規模になるというふうに考えている」と述べていましたが、国債の購入額減額は「金利上昇」を意味し、今後長期金利が上昇することにつながりますが、この結果が知らされた先週末の債券市場では逆に、長期債は買われ、金利が低下していました。市場は金利が上昇することに懐疑的だということです。先週末のNYでは米長期金利は一時4.18%台まで低下し、およそ2カ月半ぶりの低水準を記録しましたが、ドル円はそれほど売られていません。為替と米金利の相関がやや崩れてきた印象です。
6月のミシガン大学消費者マインド(速報値)は「65.6」と、市場予想の「72」から大幅に低下し、先月の「69.1」からも低下していました。ミシガン大学消費調査のディレクターは、「好調な労働市場より、低所得層は賃金が顕著に上昇した。一方でインフレは鈍化しているものの、物価の高止まりで家計は依然として厳しい状況にある」と指摘しています。消費者マインドの低下を受け、米長期金利は低下しています。先週も触れましたが、米景気の鈍化を示唆する指標は決して少なくはありせん。米債券市場もその結果を織り込む格好で金利低下が続いていますが、米金利との相関が強いドル円では、むしろドルが買われている状況です。再度160円を見ないと収まらない相場なのかもしれませんが、158円台から上方はこれまで以上に注意が必要かと思われます。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は14日CBSの番組で、「インフレ率が2%に戻りつつあることを確信するには、もっと多くの証拠が必要だ。われわれは現在、何らかの意思を決定する前に時間をかけてインフレ統計、および経済や労働市場に関するデータをさらに見られる非常に良い位置にいる」と指摘しています。またカシュカリ総裁は、「年内に1回の利下げがあるとすれば、年末に向けて行われる公算が大きい」と述べていました。クリーブランド連銀のメスター総裁も14日ブルームバーグとのインタビューで、「インフレに対するリスクはまだ上向きだと考えている。労働市場へのリスクは両方向だと思う」と述べ、今年1回の利下げを示唆した最新のFOMC予想について、「自分の経済予測とかなり近い」と語っています。
フランスの極右政党・国民連合(RN)を率いるマリーヌ・ルペン氏はフィガロ紙とのインタビューで、「私は制度を尊重している。制度のカオスを求めているわけではない」と述べ、「共生するだけだ」と発言しています。ルペン氏は、「国民議会(下院)総選挙で自身が勝利しても、マクロン大統領を追い出すつもりはない」と強調していました。フランス政治に詳しい専門家は、「穏健派や投資家にアピールする狙いがある」と、今回の発言を批判しています。フランスでは15日に、ルペン氏が掲げる極右的な政策に反対する大規模なデモも行われています。
本日のドル円は156円80銭~158円30銭程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
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