【為替本日の注目点】ドル円一気に160円台後半に

為替

サーチナ

2024/6/27 10:34

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円はおよそ38年ぶりに160円88銭まで急伸。欧州時間の朝方に160円台に乗せ、NYでは米金利が上昇したこともあり「ドル買い円売り」が加速。神田財務官のけん制発言も効果なし。ユーロドルも続落。1.0666まで「ドル高ユーロ安」が進行。株式市場では3指数が揃って小幅に上昇。債券は続落。長期金利は4.32%台に上昇。金は続落し、原油はほぼ横ばい。

5月新築住宅販売件数 →  61.9万件

マーケット情報

ドル/円 160.00 ~ 160.88

ユーロ/ドル 1.0666 ~ 1.0695

ユーロ/円 170.78 ~ 171.79

NYダウ +15.64 → 39,127.80ドル

GOLD -17.60 → 2,313.20ドル

WTI +0.007 → 80.90ドル

米10年国債 +0.082 → 4.329%

本日の注目イベント

トルコ トルコ中銀政策金利発表

独 独5月生産者物価指数

欧 ユーロ圏6月消費者信頼感指数

欧 ユーロ圏6月景況感指数

米 新規失業保険申請件数

米 1-3月GDP(確定値)

米 5月耐久財受注

米 5月中古住宅販売成約件数

米 米大統領選候補者、第一回テレビ討論(ジョージア州アトランタ)

 予想通り160円台前半では政府・日銀による介入は見られず、NYでは160円88銭と、1986年12月以来となる「円安」を記録しました。NY時間朝方には神田財務官が円安の動きをけん制する発言を行い、30銭程ドルが下げる場面もありましたが、直ぐに切り返し160円88銭までドル高が進みました。神田財務官は財務省内で会見し、「行き過ぎた動きに対して必要な対応を取る」と述べ、「特定の相場水準を対象には考えておらず、あくまで投機などによる急激な変動あるいは無秩序な動きに対して対応する方針に変わりはない」と説明し、その上で「最近の円安の進行には深刻な懸念を有している」と述べ「高い緊張感を持って市場の動向を注視している」と語っていました。

 財務官の言う「投機的な動きかどうか」を判断するのは簡単ではありません。円安が進めば進むほど、石油など輸入業者はドルの手当てを急ぎ、巨大な為替市場で実需と投機を見分けるのは簡単ではないはずです。タイミング良く、今朝の日経新聞「大機小機」には、「円安防止の金融政策はありか」と題したコラムが掲載されています。執筆者の「四つ葉氏」によれば、「金融政策が為替市場を意識することが許されるのかどうか」については、概ね3つの考え方があり、1つ目はイエレン財務長官に代表されるように、意識しなくていいというもので、2つ目は新興国などで見られるように、自国の経済に大きく影響するため、利上げによる通貨防衛です。そして3つ目が「表向きは為替相場のことなど考えていないというふりをして、実はそれしか考えていない」とする説で、日本をその典型例に挙げています。最後に、「為替相場は市場が決める」、「為替相場に一喜一憂しない」ことが、当局のあるべき姿だろうと、結んでいます。「FRBが利下げを遅らせ、現在の高金利を維持する一方、利上げを決められない日銀」・・・。一喜一憂しても何も変わらないのが実情です。

 さて、ここまで来ると介入がいつ、どの水準で行なわれるのかに注目が集まります。すでに4月29日に介入を行った水準である160円22-24銭は大きく超えているため、いつ介入があってもおかしくはありません。ただ、4月介入の「賞味期限」は結局2カ月程度しか持ちませんでした。このことを考えると、仮に今介入して水準を押し下げたとこころで再びドル高に転じる可能性は高いと思われます。さらに今回2回目(実際は3回目)の介入を行ったところで、前回のように「8円以上も円高方向に振れる」という保証もありません。筆者の経験で言えば、介入は回を重ねれば重ねるほど、その効果は逓減していきます。そして最後は、介入があれば「絶好のドルの買い場だ」と考え、むしろドル売りに向って来る動きが出て来ることも想定されます。かつて「チューリッヒの小鬼たち」という言葉が流行ったことを想い出しました。

 明日は米国でPCE価格指数が発表されます。仮に今日、市場のどこかで介入をしても、明日の同指数が上振れしたら元の木阿弥です。また、同指数が下振れすればドル売りが加速することも考えられます。拙速な介入は避け、明日の同指数を確認してから行う方がベターかも知れません。従って、介入の可能性がないわけではありませんが、無いと見せかけドルが一段高を演じたら、動いて来るのではないかと考えています。

 本日のドル円は160円~162円程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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