米3月雇用統計、非農業部門雇用者数は前月比70.1万人減―9年半ぶり減少

経済

2020/4/6 9:36

<チェックポイント>

●非農業部門雇用者数急減、4月はさらに悪化か

●失業率は4.4%―17年8月以来2年7カ月ぶり高水準

●4月失業率は10-20%―市場予想

 米労働省が3日発表した3月雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比70万1000人減と、2月の27万5000人増から一転して大幅減少となった。月間ベースの減少は10年9月以来約9年半ぶり。また、市場予想コンセンサス15万人減を大きく下回った。ただ、市場予想のレンジは10万人増との楽観的な見方から70万人減の悲観的な見方までに極端に分かれていた。

 労働省は今回の結果について、中国で発生した新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック(感染症の世界流行)による悪影響に加え、政府による感染拡大を阻止するためのソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)や臨時休業要請などで経済活動が抑制されたことが主因としている。だが、実際に新型コロナ関連の臨時休業が集中したのは3月後半であり、悪影響は4月統計に大きく反映される公算が大きい。

 市場では、労働省が4月2日に発表した3月28日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)が664万8000件と、前週の330万7000件の2倍に急増し、3月だけで約1000万人が失業したことを踏まえると、4月統計では失業者が1000万-2000万人、失業率は10-20%になると予想しており、リセッション(景気後退)懸念を強めている。

 新型コロナ関連の失業者の増加や雇用者の減少は、レジャー・接客業やレストラン・バーなどの飲食業、専門・ビジネスサービス業、小売業、建設業、教育・ヘルス(健康サービス)業が顕著で、これらの業種は全体の減少分の3分の2を占めた。

 3月雇用統計を受け、ニューヨーク証券取引所ではダウ工業株30種平均が急落し、債券市場では10年国債利回りが低下した。

 過去3カ月間(1-3月)の月平均の雇用者増が7万1000人減と、2月時点の22万4000人増から急減速した。過去2カ月の新規雇用者数も改定。1月は前回発表の前月比27万3000人増から同21万4000人増に下方改定された一方で2月は同27万3000人増から同27万5000人増に上方改定され、2カ月計で5万7000人の下方改定となった。

 失業率は4.4%と、2月の3.5%や市場予想の4.0%を上回り、17年8月(4.4%)以来2年7カ月ぶりの大幅悪化となった。

 労働市場への参加の程度を示す労働参加率(軍人を除く16歳以上の総人口で労働力人口を割ったもの)は62.7%と、2月の63.4%を下回った。

 賃金(平均時給)の伸びは、前月比0.4%増と、2月の同0.3%増や市場予想の同0.2%増を上回った。前年比は3.1%増と、2月の3%増を上回った。

 週平均労働時間は34.2時間と、2月の34.4時間を下回り、11年以来9年ぶりの低水準となった。市場では、コロナウイルス感染の拡大阻止で政府が自宅待機を指示したことが影響し、従業員の削減が起きやすくなったとみている。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ