<中原圭介の相場観>米国のコロナ対策に期待も、楽観は禁物

コラム

2020/7/22 11:40

 米国で新型コロナウイルスの感染再拡大が止まらない。新規感染者数(7日移動平均)は7月19日時点で6万3902人(暫定値)と、4月のピークであった3万1630人の2倍を超えてきた。

米国でマスク義務化進む

 ただし、感染拡大が止まる兆しは見え始めている。米国の半数を超える州で、人前でのマスク着用の義務化が進んでいるからだ。マスクの義務化に反対していた共和党知事の中にも、義務化を認めざるを得ないケースが出ている。これは大きな変化だと思う。今から2週間後には、新規感染者数の増加を抑制する効果がてきめんに表れてくるのではないかと期待している。

 その上、米国の政府と議会は、第4弾の経済対策を発動する方向だ。7月末で期限が切れる失業保険の特定加算を部分延長するほか、給与税の減税案や、失業者が再就職した場合、ボーナスを支給する案などが検討されているという。

 今のところ、米国株は金融緩和と財政出動が下支え役として、新型コロナの感染拡大が下押し圧力として綱引きをしている。しかし、感染の拡大傾向が収まってくれば、株価が暴落するリスクは弱まってくるだろう。ただでさえ米市場ではワクチン開発の成功が既定路線とされており、下手にカラ売りをできない状況にあり、売り圧力は確実に弱まっているようだ。

 そうはいっても、楽観に傾き過ぎるのは控えたい。ワクチンをめぐっては米バイオのモデルナ<MRNA>や英製薬大手のアストラゼネカが今秋にも実用化を目指すとしているが、最終段階の治験が成功するかは誰にも分からない。また、英国や中国などの研究では、抗体が長続きしないという結果も報告されている。事実であればワクチンがそれほど役に立たないということになる。

 新型コロナについてはまだ分からないことだらけだ。このような不確実性がマーケットの先行きの予想を難しくしている。いずれにしても、ワクチンへの期待が持続できるか否か、それが株価の命運を握っている。

(アセットベストパートナーズ 中原圭介)

(写真:123RF)

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