来週の東京外国為替市場見通し=米国の政治動向や雇用統計を見据えた展開
予想レンジ:1ドル=1ドル=103円00銭-105円00銭
7月27-30日のドル・円は下落した。週初27日は、引き続きEU(欧州連合)復興基金合意などを好感したユーロ買い・ドル売りが波及し、ドルは円に対しても下落。28日はドル売りが一服した。29日、FOMC(米連邦公開市場委員会)は市場予想通り現行の金融政策を据え置き。その後、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の会見で、米金融当局の超緩和的な姿勢が当分続くとの見方が広がると、ドル売りにつながった。30日、米4-6月期GDP(国内総生産)速報値の大幅悪化や、週間の新規失業保険申請件数の増加でリスクオフに傾き、ドルの下落が継続した。
ユーロなど主要通貨に対しドルが売られる展開が続いている。新型コロナウイルスの感染拡大や緊迫化する米中対立など懸念材料が山積。直近発表の米4-6月期GDP速報値は前期比年率マイナス32.9%と統計開始以来最悪の水準で、コロナ禍による米経済へのダメージの深刻さが改めて浮き彫りとなった。経済指標では米7月雇用統計が控え、足元の米雇用環境にひときわ注目が集まる。その他、米7月ISM(米供給管理協会)製造業景況指数、米6月製造業受注、米7月ADP(オートマチック・データ・プロセッシング)雇用統計、米6月貿易収支、米7月ISM非製造業景況指数と重要指標が相次ぎ、様子見ムードが広がる場面も出てきそうだ。
コロナ禍対策としての米政府による失業給付の特例加算は、当初の予定通り7月末で一時失効する見通し。追加経済対策をめぐっては米与野党の協議が難航している。また、トランプ米大統領が11月の米大統領選挙の延期について言及するなど、米国の政治に漂う透明感がドル・円の変動要因となりうる。
ドル・円はチャート上で、1ドル=104円を割り込めば次は103円を意識する展開。上昇が進んだユーロ・ドルに是正の動きが出ればドル買い・円売りに波及する可能性もあるが、心理的フシとなる105円が上値抵抗線となりそうだ。
提供:モーニングスター社
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