<青天を衝く飛躍株>続・井関農機の大復活、地味ながらトリプルバガーの素地
2021/8/11 15:16
日本郵船<9101.T>や商船三井<9104.T>など、会社側の当初予想と実勢が大幅にカイ離する状況をみていると、こうした企業の保守的さを残念に思う。慎重なのはいいが、行き過ぎるとミスリードを招く。井関農機<6310.T>もそのような銘柄の1つだ。
―純益進ちょく率172%―
同社が6日に発表した今12月期上期決算は、連結売上高867億円(前年同期比20%増)、経常利益55億円(同5.2倍)となった。6月15日の当欄では同社を取り上げ、前期でうみを出し切ったこと、また欧米を中心に海外売上が大幅に増加していることを主因に、今期は大幅な増額修正・復配が濃厚だと指摘。上期で通期計画の純利益24億円を優に超える30億円が可能だろうと書いた(結果はそれをさらに上回る41億円)。
上期の純利益は、既に通期計画(24億円)の172%に達している。想定を大きく超える驚異的な伸びと言えよう。構造改革を達成した企業の強さをまざまざと見せつけた形だ。
―通期増額見送りも不安なく―
これだけの進ちょく状況を見せながら、通期の業績予想の上方修正と復配の発表がなかったのは、同社の伝統的な超保守的体質のせいだ。下期の減速を気にやむ必要はない。IR(投資家向け広報)担当者へのヒアリングに基づく推計では、欧米向けの受注残(6月末)は200億円あり、輸送用のコンテナが確保できれば売上はさらに伸びる見通しだ。
その一方で、農業の就業者人口が減り続ける国内だが、ITを駆使したスマート農業への国や自治体の補助金が手厚く、需要拡大が続く流れにある。今期は2014年3月期の最高純益64億円を更新する可能性すらある。
株価は過去の業績推移と比較すると圧倒的に割安な水準(PER14.5倍、PBR<株価純資産倍率>0.55倍)にあり、今後は13年の上場来最高値4540円を目指す展開も期待できそうだ。地味な会社ではあるものの、株価がトリプルバガーの期待も強まってきた。
提供:モーニングスター社
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