rakumo、SaaSで成長続く――高収益性体質にも注目

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2021/11/16 8:30

 企業向けグループウエアサービスのrakumo(4060・M)が12日に発表した今12月期第3半期累計(1~9月)の連結業績は、主力のSaaSの売上が前年同期比21.7%増となったことを背景に、連結売上高が前年同期比17.4%増の7.1億円、営業利益が同71.2%増の1.6億円に拡大した。販売代理店を順調に増やす中、5月には「クラウドサイン」とrakumoの自社製品であるワークフローを連携させる機能を追加。10月にはクラウド契約サービス「クラウドサイン」の販売を開始したことから、収益の上積みも期待できそうだ。文教分野での開拓にも取り組み、顧客の広がりが見込まれる。

 同社はスケジュール管理や電子稟議(りんぎ)などの業務支援ツールを企業に提供するSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)サービスや、DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入支援を主力とする。SaaSでは米国のグーグルとセールスフォース・ドットコム<CRM>のプラットフォームで展開し、密接に連携している。

 9月末のクライアント数は2178社(2020年12月末は2005社)に増え、ユニークユーザーの数は45万人(20年12月末比3.4万人増)に拡大した。グーグルの提供する文書、プレゼンテーション資料の作成ツールおよびテレビ会議システムなどの業務基盤ツールをパッケージで提供する「グーグルワークスペース」の浸透に伴い、同社のサービスも普及している。また、GIGAスクール構想での長期的な浸透も期待できそうだ。

 5月には弁護士ドットコム(6027・M)の手掛けるクラウドサインと連携を開始し、10月にrakumo経由でのクラウドサインにも着手した。販売代理店を100社以上抱えており、新たにIT代理店の大手シネックスジャパン(東京都江東区)に供給し、全国のパートナーを通じて展開を広げる考え。また、マネーフォワード(=Mフォワード、3994)のオンラインストアでも販売を開始しており、今後の売上貢献が予想される。

 また、収益体質の向上も見逃せない。営業利益率は7~9月が26.4%となり、4~6月(21.1%)から大きく改善した。売上原価は固定費が中心であり、費用対効果の高いマーケティングに注力できる点を生かして利益を積み上げている。SaaSは期末に向けて売上・利益が伸びる傾向があり、通期の営業利益予想(2.1億円、前期比58.1%増)は上ブレの余地がありそうだ。安定性と成長性を両方兼ねそろえるのもrakumoの特徴だ。

 顧客の継続率の高さもrakumoの強みだ。サービスの解約率は上期の月次平均でわずか0.93%。契約後の手厚いフォローやアンケートの実施で低い水準を維持しており、低下余地もあるようだ。今後は売上が伸びつつある社内コミュケーションツール「rakumoボード」のほか、新規プロダクトの投入にも期待が高まる。

(写真:123RF)

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