2021年の資産別年間リターンの単純平均は14.67%、カネ余りによると考えられる振幅の大きさ
2022/1/11 7:50
国内公募投信のパフォーマンスを表すモーニングスターインデックスを使って、投資資産別年間リターンをランキングすると、2021年は20年に比べて相対的に高いリターンを出していることが分かった。21年のリターン上位には「商品先物」と「国際REIT」といった20年に大きなマイナスリターンになった資産の反発による上昇が目立った。モーニングスターインデックスで為替ヘッジありとブルベア型を除く62分類の年間リターンを比較すると、2020年はマイナスリターンが30あったことに対し、21年のマイナスは4資産のみになった。21年は全般的にリスク資産の年間リターンはかさ上げされた1年間だったことが分かる。単純に62インデックスの年間リターンを平均すると、20年は0.25%だったが、21年には14.67%になった。
その中で、2年連続で2ケタのプラスリターンをあげたインデックスは3つで、「国際株式・グローバル・含む日本・為替ヘッジなし」(21年が23.67%、20年が13.81%)、「国内大型グロース」(同10.76%、19.00%)、「国際債券・転換社債・為替ヘッジなし」(10.34%、10.35%)が該当した。また、2年連続で2ケタのマイナス成長になったのは、「国際株式・ブラジル・為替ヘッジなし」(同マイナス13.15%、マイナス24.69%)のみで不振が目立った。
21年のリターンのトップ5は、「S&P GSCI商品指数連動型」(プラス58.04%)、「RICI商品指数連動型」(55.22%)、「国際REIT・グローバル・除く日本・為替ヘッジなし」(46.36%)、「ブルームバーグ商品指数連動型」(45.19%)、「国際REIT・北米・為替ヘッジなし」(44.13%)の順番だった。この5インデックスは、20年にいずれも年間リターンがマイナスのインデックスだ。特に、トップの「S&P GSCI商品指数連動型」は20年がマイナス29.60%とワーストリターンだっただけに、非常に大きな振れ幅で動いたことになる。このような振れ幅の大きさは、世界的な金融緩和・カネ余りによるマネーゲーム(上がるから買う・買うから上がる)のような相場といわれる理由の1つになっている。
一方、20年にリターンでトップだった「国際株式・中国・為替ヘッジなし」(プラス26.48%)は、21年はマイナス0.48%になった。20年に高リターンだったインデックスは、「国際株式・中国・為替ヘッジなし」を除くと21年も連続して高いリターンを残しているだけに、中国株式の21年の不振が際立っている。
21年が相対的に高いリターンだったことによって、22年はリスク資産全般に価格修正の懸念が高まっている。特に、21年に上昇が顕著だった商品(コモディティ)関係の上昇は、国際的なインフレ懸念を呼び起こしており、インフレを抑制するために、各国で政策金利の引き上げが実施されるのではないかと警戒されている。政策金利が引き上げられるような金融引き締め局面になってしまうと、株式やREITなどリスク資産が一段と上昇していくことは困難になると考えられる。
提供:モーニングスター社
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