<新興国eye>チェコ中銀、5対2の賛成多数で0.75ポイント利上げ―利上げ継続を示唆

新興国

2022/5/6 12:17

 チェコ国立銀行(中銀)は5日の金融政策決定会合で、インフレ加速を抑制するため、政策金利の2週間物レポ金利を0.75ポイント引き上げて5.75%とすることを5対2の賛成多数で決めた。2委員は現状維持を主張して反対票を投じた。5.75%は1999年以来23年ぶりの高水準。市場予想コンセンサスは0.50ポイント利上げだっただけに、もう一段の大幅利上げはサプライズとなった。

 中銀は最近のインフレ加速を受け、21年6月会合で20年2月以来、1年4カ月ぶりに利上げ(0.25ポイント)を再開し、8月、9月、11月、12月に計3.25ポイント引き上げた。22年に入り2月に0.75ポイント引き上げ、これで利上げは21年6月以降で8会合連続となった。利上げ幅も計5.50ポイントに達した。

 中銀は会合後に発表した声明文で、追加利上げを決めた理由について、「インフレ率が今後数カ月でさらに上昇し、春の終わりと初夏にほぼ15%上昇に達する」と予想し、インフレが短期的に急加速することへの懸念を挙げている。また、「最新の経済予測で、市場金利が急激に上昇する見通しとなったことも考慮した」としている。ただ、「景気の先行きに対する両方向(上ブレ・下ブレ)のリスクを考慮し、政策金利の引き上げを経済予測よりも緩やかにした」とも述べている。

 今回の会合で発表された最新の経済予測によると、3カ月物PRIBOR(プラハ銀行間取引金利)で見た市場金利は22年が7.0%(前回予測は4.3%)と急伸し、23年も5.1%(同3.3%)と、前回予測よりも引き上げられている。

 中期のインフレ見通しについては、「22年の2ケタのインフレ率は来年上期に急速に低下し、23年後半には物価目標の2%上昇近くに戻る」と見ている。最新の経済予測では、22年のCPI(消費者物価指数)で見たインフレ率(全体指数)は前年比13.1%上昇と、前回予測の同8.5%上昇を大幅に上回り、23年は同4.1%上昇(前回予測は2.3%上昇)に減速すると予想している。

 景気の見通しについては、「22年のGDP(国内総生産)成長率は大幅に鈍化し、下期には経済活動が前年比でわずかに縮小(マイナス成長)する」と予想している。最新の経済予測によると、22年の成長率は前年比0.8%増と、前回予測(3.0%増)から大幅に下方修正された。23年に3.6%増(前回予測は3.4%増)に回復すると見ている。

 今後の金融政策の見通しについては、「インフレ期待が抑制されない(中銀の2%上昇の物価目標からカイ離する)恐れがあるため、政策金利を大幅に引き上げた」とした上で、「次回以降の会合で金融政策をさらに引き締める可能性がある」とし、追加利上げの可能性を示した。

 次回の会合は6月22日に開かれる予定。

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 上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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