<新興国eye>カンボジア中銀、電子支払のための統一QRコードを主導

新興国

2022/7/22 15:24

 7月4日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、電子支払のための統一QRコードとなる「KHQR」の導入を記念する式典を開催しました。式典には、オンラインも含めて、銀行やマイクロファイナンス機関などの関係者200名以上が参加しました。

 カンボジアでは、電子支払が急速に拡大していますが、金融機関がそれぞれ別個のQRコードを加盟店に発行してきたため、レストランのレジには数多くのQRコードが並んでしまうという事態となっていました。こうした状況を改善するため、NBCでは、中央銀行デジタル通貨のバコンに加盟する金融機関37機関と協力して統一QRコードであるKHQRを開発しました。

 KHQRは、EMV基準を満たすものとして開発されました。EMV基準とは、Europay、MasterCard、Visaの3社が共同で電子支払のために開発したもので、セキュリティーや相互運用性などに配慮したカードや端末等の基準を定めたものです。KHQRを使用することにより、加盟店は1種類のQRコードだけで、37金融機関の電子支払に対応することが可能となります。

 NBCのチア・スレイ副総裁は、「KHQRは、フィンテックの開発や促進に貢献するとともに、支払いサービスの信頼性・安全性・効率性を向上させ、政府が目指す金融包摂にも寄与する」と期待を示しました。

 遅れた国と思われているカンボジアですが、過去のしがらみや既得権益層の反対などが少ないこともあり、フィンテックなどの新たな分野では、日本ではなかなかできないような取り組みを次々に実現させています。今後も、ITやフィンテックの分野での劇的な発展が期待されます。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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提供:モーニングスター社

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