【為替本日の注目点】ドル円再び145円90銭まで上昇
ドル円は介入の可能性を意識しながらもドル高が続く。NYでは米金利が上昇したことで145円90銭までドルが買われる。9月22日に記録したレベルに達し、さらに介入の警戒感が広がる。ユーロドルはやや水準を切り下げ、0.9691まで売られる。株式市場は、日中は3指数が上昇する場面もあったが続かず。ダウは小幅ながらプラスを維持したが、他の2指数は5日続落。債券は売られ、長期金利は一時4%まで上昇。金は反発し、原油は続落。
マーケット情報
ドル/円 145.43 ~ 145.90
ユーロ/ドル 0.9691 ~ 0.9774
ユーロ/円 141.27 ~ 142.19
NYダウ +36.31 → 29,239.19ドル
GOLD +10.80 → 1,686.00ドル
WTI -1.78 → 89.35ドル
米10年国債 +0.066 → 3.947%
本日の注目イベント
欧 ユーロ圏8月鉱工業生産
欧 NATO国防会議(ブリュッセル、13日まで)
英 8月鉱工業生産
英 8月貿易収支
米 9月生産者物価指数
米 FOMC議事録(9月20-21日分)
米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、タウンホール討論会に参加
米 ボウマン・FRB理事講演
米 バー・FRB副議長講演
米 ラガルド・ECB総裁講演(IMF年次総会)
米 G20財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン、13日まで)
145円台で小動きなドル円は、政府日銀による市場介入を意識しながらも堅調に推移。NYでは一時145円90銭までドルが買われ、9月22日に介入が実施される前の水準に達しています。NY市場での到達であったため、基本的には介入の可能性はないものの、警戒感はさらに強まり、その水準から上値を追うことはありませんでした。
債券が売られ、米長期金利が今年最も高い4%の水準まで上昇したわりには、ドル円のもう一段の上昇は見られなかったことからすると、9月の介入は相当な抑止力を発揮していると考えられます。ドル円はその後145円70銭前後まで押し戻される場面もありました。ただ、昨日の様な1銭ずつ刻むように上昇した場合、当局としてもなかなか介入には踏み切れない事情もあります。介入の指揮を執る責任者である神田財務官も、「為替の水準ではなく、われわれが注視しているのは急激な変動であり、いつでも必要な措置を取る用意はしている」と述べると共に、G20財務相・中央銀行総裁会議に出席するため「ワシントンへ移動する飛行機の中からでも介入を下すことはできる」と語っていました。ここからさらにドルが上昇すれば、再び介入に踏み切る可能性は高いと思いますが、米国との協調介入のハードルは決して低くはないようです。今朝の日経新聞も市場介入の可能性に関する記事を載せ、10月9日までに行われたフィナンシャルタイムズ(FT)のインタビューでイエレン財務長官は最近の為替市場について「われわれは通貨の動きとその影響を注意深く観察。国や政策、経済状況の基調的な違いを考えれば、市場はかなりうまく機能しており、おおむね適切であると考え続けている」とのコメントを残しています。今夜のFOMC議事録の内容や生産者物価指数の結果次第では再びドルが上値を追う可能性もあり、さすがに細心の警戒感が必要かと思います。
IMFは11日、世界経済の見通しを発表し、2023年の世界成長率を下方修正しました。「成長は依然として脆弱で、市場はストレスの兆候を見せている。世界経済の約3分の1は、来年縮小する恐れがある。米国と欧州連合(EU)、中国は失速が続く」との見方を示し、来年の世界成長率予想を「2.7%」とし、7月時点の「2.9%」や1月時点の「3.8%」から下方修正しました。その上で、IMFのピエールオリビエ・グランシャ、チーフエコノミストは「最悪期はこれからだ。暗雲が立ち込める中、政策当局者はしっかりとした手段を続ける必要がある」と述べています。(ブルームバーグ)
ロシアがウクライナへのミサイル攻撃をさらに強める中11日、G7首脳はオンライン会議を開催し、声明草案では「G7は、ウクライナが主権と領土の一体性を守る上で必要とする支援を提供するというわれわれのコミットメントは確固としており、阻止するものではないことを、ゼレンスキー大統領に伝えた。今後も資金、人道、軍事、外交、さらに法的な面での支援を続け、必要な限り断固としてウクライナを支持していく」と表明される予定です。G7首脳は、民間人への無差別攻撃は戦争犯罪だとし、プーチン氏ら、しかるべき立場の者に責任を取らせることも表明しています。10日、11日のロシアのミサイル攻撃はウクライナ全土の20都市以上に及んでおり、2月24日の侵攻開始以降、最大規模のミサイル攻撃とみられています。ウクライナでは今回の攻撃により、すでに民間人を含む20人以上が死亡した模様です。
ドル円は今日も介入水準を試す動きが続きそうです。米長期金利も4%を超えそうな気配で、英国ではBOEのベイリー総裁が、国債市場での介入を予定通り停止すると述べたこともあり、米金利には上昇圧力がかかっています。最も重要なのは明日発表の「9月のCPI」ですが、上述のように、今夜の経済指標などの発表でも大きく動く可能性もあります。本日のドル円は144円80銭~146円90銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
・今日のアナリストレポート
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・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
https://www.morningstar.co.jp/redirect/gaitameonline_calender.htm
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