【為替本日の注目点】ユーロ圏10月CPIは10.7%の上昇

為替

サーチナ

2022/11/1 10:09

ひと目でわかる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は続伸。長期金利の上昇に伴い、ドル円は堅調に推移し、148円84銭まで上昇。先週末より1円程度水準を切り上げる。ユーロドルも続落。一時0.9874前後までドル高が進む。株式市場は3指数が揃って反落。連日大幅上昇を見せたこともあり、この日は売りが優勢に。ダウは128ドル下げたが、下落幅は小幅にとどまる。債券は続落。長期金利は4.04%台に上昇。金は3日続落。原油も2日続落。

マーケット情報

10月シカゴ購買部協会景気指数 → 45.2

ドル/円 148.43 ~ 148.84

ユーロ/ドル 0.9874 ~ 0.9936

ユーロ/円 146.71 ~ 147.75

NYダウ -128.85 → 32,732.95ドル

GOLD -4.10 → 1,640.70ドル

WTI -1.37 → 86.53ドル

米10年国債 +0.036 → 4.048%

本日の注目イベント

豪 RBA、キャッシュターゲット

中 10月財新製造業PMI

英 10月製造業PMI(改定値)

米 10月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)

米 10月ISM製造業景況指数

米 10月自動車販売台数

米 企業決算 → ファイザー、イーライリリー、プルデンシャル、AIG

 ユーロ圏10月の消費者物価指数(CPI)速報値は、9月の「9.9%」を上回っただけではなく、市場予想の「10.3%」を大きく上回る「10.7%」でした。(全て前年同月比)これで、6カ月連続で「過去最高」を記録し、多くのエコノミストは、ユーロ圏のリセッションはほぼ不可避との見方を強めています。同日発表された7-9月期GDPは「0.2%」と、辛うじてプラスを維持しましたが、4-6月期の「0.8%」から鈍化していました。エネルギー価格の上昇が、企業と家計に大きな打撃を与えており、さらに大幅な金利上昇も負担になっており、10-12月期のマイナス成長は避けられない見通しです。

 ユーロドルは前日の水準からレートを切り下げ、0.9874まで下落しています。先週、ECBが理事会で2会合連続の0.75ポイントの利上げを決めたこともあり、ユーロドルはパリティを回復し、一時は1.0088前後まで上昇しましたが、その後は米長期金利の上昇を背景に再びドルが買い戻されていることもあり、上値を徐々に切り下げてきました。もっとも、この動きはドル円でも同じで、先週一時145円10銭まで売られたドル円は148円台後半まで反発しています。FOMCが近づく中で、今回の会合では0.75ポイントの利上げが確実視されているものの、0.75ポイントといった大幅利上げが意識されたのかもしれません。米債券市場では長期金利が再び4%台を回復し、昨日は4.11%近辺まで上昇する場面もありました。ドル円も149円前後までの反発は想定されましたが、ここからが「正念場」で、介入警戒感が強まる中、再び150円台に乗せることができるかどうかが注目されます。

 財務省は昨日、10月分(9月29日―10月27日)の為替介入額が6兆3499億円だったことを発表しました。これは、先月24年ぶりに介入を実施した9月分の介入額2兆8382億円を超えて過去最大となります。市場では10月の介入額は7兆円を超えているのではないかといった見方もあり、実感としては思ったより少額だったという印象です。覆面介入が何回あったかは不明ですが、少なくとも3回の大規模なドル売り円買い介入で4円~5円程度水準を押し下げることには成功しましたが、再び149円に迫る水準までドル高が進んでいます、個人投資家も「介入でドルが下がったら買いたい」といった姿勢を維持しており、「介入を待つスタンス」が見られます。ドル円が再び150円台に乗せれば介入を実施してくる可能性が高いと予想していますが、それでも急激な変動ではなく、じりじりとドルが上昇する動きが続いた場合、果たして介入してくるのか、そこはやや未知数です。

 結局、米国のインフレがいつピークアウトを見せ、そのデータがいつ確認できるのかが鍵になってきます。インフレがピークを付け、FRBによる利上げが休止し、今度は金利正常化のタイミングを探る展開になれば、ドルは必然的に下げるはずです。モルガンスタンレーのストラテジストであるマイケル・ウイルソン氏は31日のレポートで「FRBの利上げは終わりに近づいている」との見方を示しています。同氏は、利上げの終了が近いことを示す兆候として、10年物と3カ月物の米国債利回り逆転などを挙げています。この逆イールドはリセッションを予言する指標として過去に外れたことがないそうで、ウイルソン氏は「全てが、米金融当局の意外に早い方向転換を示唆している。従って今週のFOMC会合は株式相場の反発が続くのか、一時休止となるのか、それとも完全に終わるのか重要な鍵を握る」と指摘しています。(ブルームバーグ)通常リセッション入りしたかどうかの判断は10年債と2年債の逆イールドが使われることが多いようですが、より短い3カ月でも逆イールドが発生すれば、リセッション入りの可能性がさらに高まるというロジックなのでしょうか。今後の大幅利上げが予想される中、先週のようにNY株式相場の急反発には個人的には違和感がありました。しかし、これも、鼻の利く投資家が先回りをして買っているとすれば、納得できる部分はあります。明日にはFOMCの結果発表とパウエル議長の会見、さらには4日には雇用統計も控えており、ボラティリティーの高い相場が予想されます。本日のドル円は147円50銭~149円50銭程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://www.morningstar.co.jp/redirect/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://www.morningstar.co.jp/redirect/gaitameonline_calender.htm

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ