【為替本日の注目点】WTI原油価格、5日続落で71ドル台に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円は東京市場午後から欧州市場にかけてはジリ安の展開が続いたが、NYではやや買い戻される。「リスク回避」の流れがやや後退したが、値動きは緩慢だった。ユーロドルは1.05台から上値を試す展開となり、1.0565辺りまで上昇。株式市場は3指数が揃って反発。連日売り込まれた反動との声が大勢で、反発力も限定的。ダウは183ドル高。債券は反落。長期金利は3.48%台に上昇。金は続伸し1800ドル台を回復。一方原油は5日続落となり、71ドル台前半まで売られる。
マーケット情報
新規失業保険申請件数 → 23.0万人
ドル/円 136.32 ~ 136.80
ユーロ/ドル 1.0511 ~ 1.0565
ユーロ/円 143.48 ~ 144.36
NYダウ +183.58 → 33,781.48ドル
GOLD +3.50 → 1,801.50ドル
WTI -0.55 → 71.46ドル
米10年国債 +0.067 → 3.484%
本日の注目イベント
中 11月消費者物価指数
中 11月生産者物価指数
米 11月生産者物価指数
米 12月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
米 家計純資産(3Q)
前日と同じようにドル円は137円台まで上昇する場面もありましが、上昇の勢いはなく136円台前半まで押し戻され、その後は目立った動きになっていません。ユーロドルも1.05を挟むもみ合いが続いていますが、昨日はやや上値を切り上げ、1.0565近辺まで買われましたが、こちらも勢いはないようです。今夜には米11月の生産者物価指数(PPI)が発表され、来週早々にはCPIとFOMCを控えていることもあり、市場はやや小休止の様相でした。
NY株式市場では久しぶりに主要3指数が揃って上昇し、債券が売られるなど、「リスク回避」の流れがやや後退していますが、米経済は来年にはリセッション入りの可能性が高く、昨日の動きも「単なる綾戻し」との声が優勢でした。下落が続いている原油価格は昨日も下げ、これで5日連続で売られました。昨日は米国の戦略的在庫が想定以上に増えていたことが材料視されていますが、来年も世界景気が一段と鈍化するとの観測を背景に、なかなか浮上のきっかけがつかめないのが現状です。米国では一時、ガロン当たり5ドルを超えていたガソリン価格が3ドル台まで下がり、1年前の価格を下回ってきました。FRBにとっては願ってもない「朗報」です。
FRBにとっては「手ごわい相手」である、好調な米労働市場にもやや鈍化の兆しが見え、今後雇用統計にも影響を与える可能性も浮上しています。昨日発表された週間失業保険申請件数は前週比4000件増えて、23万件でした。失業保険の継続受給者数も、前週比6万2000人増の170万人と、2月上旬以来の高水準になっています。労働市場が一時的に冷え込んできた兆候とも捉えられますが、サービス業を中心に「人手不足」は続いており、ここが解消されないかぎり「高賃金→消費拡大→インフレの高進」という構図は崩れそうもありません。引き続き毎週発表される失業保険申請件数にも注意していきたいと思います。
6日に行われた米ジョージア州の上院決選投票では、最後の最後に民主党現職のウォーノック氏が、トランプ前大統領から支持を受けた共和党候補のウォーカー氏を破り勝利しました。これで上院の議席数は「51対49」となり、バイデン政権にとっては上院での法案可決において有利に働くことになります。もっとも、決選投票前でも仮にウォーカー氏が勝利して「50対50」になったとしても、副大統領であるハリス氏が民主党であることから「態勢」は決まっていましたが、問題は2024年の大統領選に出馬を決めているトランプ氏への影響です。
共和党上院院内幹事のスーン議員は、「20年大統領選挙へのトランプ氏の執着が汚点になり、特に激戦区で出馬していた人々に本当に不利益になったと思う」と述べ、共和党の重鎮でトランプ氏と頻繁に論争を交わしたロムニー上院議員も、「トランプ前大統領の支持を得ることは、党内の予備選挙で勝利しても本選挙では敗れる可能性が高いことを意味した」と指摘し、「選挙で実際に勝ちたい人にとっては、トランプ氏から支持を得ることは死への接吻だ」(ブルームバーグ)と、かなり辛辣な言葉で批判しています。「共和党圧勝」との事前予想が多かった今回の中間選挙でしたが、これでトランプ氏の再選の可能性はかなり低下したと思われます。党内のトランプ離れも徐々に進み、「トランプ党」から「共和党」へ再び戻りそうな気配もします。後は、仮にバイデン氏が出馬した場合、「年齢」だけが悪材料として意識されそうですが、残り2年、ウクライナ問題や中国との関係も含めて、何が起こるか分かりません。
本日のドル円は135円50銭~137円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
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