株式新聞・相場アンケート――注目テーマとリスクは?
市場関係者が選んだ2023年の注目テーマ(複数回答可)は、本格回復が期待されるインバウンド(訪日外国人観光客)を筆頭に、国策に位置付けられる防衛やGX(グリーントランスフォーメーション)などが人気となった。一方、リスクファクターは、中国絡みの問題と米国の金融政策がきっ抗している。
インバウンドや防衛が上位に
注目テーマで1位に付けた「インバウンド」(11票)は、政府の水際対策の緩和により勢いを取り返しつつある。日本政府観光局(JNTO)によれば、11月の訪日外客数は93万人(10月比約1.9倍)に拡大した。コロナ前の水準に戻るには、今後の中国人客の回復がカギを握る。
「防衛・安全保障」(9票)をめぐっては、岸田政権がこのほど防衛費を2027年度にGDP(国内総生産)比2%に増額する方針を打ち出した。北朝鮮によるミサイル発射や、現実味を増す中国の台湾進攻を背景に、株式市場でも関連銘柄が存在感を高めている。「GX」(7票)も脱炭素へ向けた重点予算分野だ。
一方、物価動向や日銀の金融政策にもマーケットが敏感な様子がうかがえる。このトピックスに関する回答(「インフレ・金利復活」)は計8票を集め3位に食い込んだ。インフレについては、その収束を材料視する意見(「インフレ沈静化」、計4票)も少なからずあった。
市場関係者は半導体セクターの押し目にも視線を注いでいる。22年は米国のハイテク株安やメモリー市況の軟化によって、日本でも関連銘柄が高値から大きく値下がりした。しかし、23年のマイナス成長は既に織り込まれたという見方も強い。また、先端領域や車載品のニーズは底堅いようだ。「半導体・ハイテク」にまとめた項目が計7票、「パワー半導体・先端半導体」は計6票となった。
このほか、「高配当」「自動車ばん回生産」、さらには、重なる部分もある「国内生産回帰」「サプライチェーン再構築」といったテーマも複数票を獲得している。
中国情勢への警戒強い
リスクについては上から3つまで挙げてもらい、順位に応じたポイントに換算した。トップは「中国関係」と「インフレ継続と米金融政策」が並んだ。もっとも、中国関係は、同国をめぐるさまざまな回答をひとまとめにしたもの。中でも多かったのは経済で、台湾有事や習近平政権の不安定化、新型コロナの拡大に警戒する向きもそれぞれ複数いた。
注目テーマとしても多かった「日銀の人事と金融政策」はリスク側でも当然ながら上位に入った。「世界景気の悪化」や「ロシア関係」「日本の政局」にも注意する必要がありそうだ。
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(写真:123RF)
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