【為替本日の注目点】ドル円乱高下、一時129円台半ばまで下落

為替

サーチナ

2023/1/4 10:30

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 東京市場が休場の中、ドル円はアジア時間に129円51銭近辺まで下落。昨年6月以来の円高を付けたがその後は上昇に転じる。NYでは131円20銭までドルが反発し、荒っぽい展開に。ユーロドルはドイツのCPIが予想を大きく下回ったことで下落。1.0531前後まで売られ、約3週間ぶりのユーロ安に。株式市場は朝方には上昇したものの、その後マイナス圏に。アップルやテスラ株が大きく下げたが、引けにかけては下げ幅を縮小して取引を終える。債券価格は大幅に上昇。長期金利は3.73%台まで低下。金は大幅に買われ、一時昨年6月以来となる1856ドル台まで上昇。一方原油は中国のPMIの悪化もあり大きく売られる。

マーケット情報

12月S&P製造業PMI(改定値) → 46.2

ドル/円 130.05 ~ 131.20

ユーロ/ドル 1.0531 ~ 1.0598

ユーロ/円 137.62 ~ 138.35

NYダウ -10.88 → 33,136.37ドル

GOLD +19.90 → 1,846.10ドル

WTI -3.33 → 76.93ドル

米10年国債 -0.136 → 3.739%

本日の注目イベント

中 12月財新サービスPMI

中 12月財新コンポジットPMI

独 12月輸入物価指数

独 8月サービス業PMI(改定値)

欧 ユーロ圏8月サービス業PMI(改定値)

英 11月消費者信用残高

米 12月ISM製造業景況指数

米 FOMC議事録(12月13-14日分)

米 12月自動車販売台数

 ドル円は東京市場がまだ正月休みの昨日、節目の130円を割り込み、一時129円51銭近辺までドル安円高が進みました。130円割れが1月中にはあると予想していましたが、参加者が少ない3日にやや投機的とも思えるドル売りであっさり130円を割り込んでしまいました。ただ、その後のNYでは131円20銭までドルが買い戻され、荒っぽい年明けとなり、今年もドル円は、昨年のような「大相場になる」ことを予感させる動きでした。

 129円台まで売られたドル円は、投機的な動きとはいえ、その背景には今月の日銀金融決定会合で昨年12月の「サプライズ」同様、金融引き締めを実施する可能性が意識されたようです。4月の黒田総裁交代までに、もう一段の政策修正があるといった観測も根強くあります。ただ、129円台から131円台前半まで戻した理由ははっきりとはしませんが、ユーロドルで、「ドル高ユーロ安」が進んだ影響もありそうです。ドイツの12月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比で「9.6%」と、市場予想の「10.2%」を大きく下回ったことで、ECBの大幅利上げへの懸念が後退し、ユーロ売りが加速しました。ユーロドルは昨年12月13日以来となる1.0519前後まで売られ、ユーロ円も137円台半ばまで売られる場面がありました。

 昨年12月28日にイタリア・ミラノの保健当局は、中国からの航空便2便の乗客のほぼ半数が新型コロナウイルス検査で陽性だったことを明らかにし、イタリア政府は中国から到着する航空便について、全乗客の検査を義務付けることを命じました。その後米国でも同様な動きがあり、欧州でもこの動きに追随する可能性が高くなっています。これに対して中国政府は、これらの一連の制限は「政治目的」だと主張し、導入した国・地域に対して報復する意向を打ち出しています。個別の国名には言及していないものの、日本も含まれる可能性があるようです。一方で米中関係には昨年12月からやや改善の兆しも見えてきた中、中国の新しい外相の泰剛氏は米国との外交がより改善する可能性を示唆する発言を行っています。泰氏は3日、「私が会った多くの勤勉で友好的、かつ有能な米国民に対して深い感銘を受けた」とツイ-トし「全米で多くの友人を作った」と付け加えていました。(ブルームバーグ)泰氏は駐米大使から外務大臣に起用された人物で、今後習近平政権での外交責任者という立場です。泰氏は引き続き「両国関係の発展を支援し、平和と繁栄を促進する」と表明しています。このようなコメントが中国の対米関係をどの程度改善させていくのかどうかは未知数ですが、台湾海峡を巡って米中の緊張が続いている状況下、期待したいと思います。

 IMFのゲオルギエワ専務理事は2023年について、世界経済にとって「厳しい年になり、昨年を上回る厳しさになる」と警鐘を鳴らしています。専務理事はその理由として「米国、欧州連合(EU)、中国の三大経済がそろって同時に減速するからだ」と語っています。実際、昨年末に発表された中国のPMIでは、製造業が「47.0」(11月は48.0)、サービス業が「41.6」(11月は46.7)、コンポジットでは「42.6」(11月は47.1)といずれも前月を下回り、拡大、縮小の境目である「50」を大きく下回っていました。2008年の「リーマン・ショック」の時でさえ10%を超えるGDPをたたき出し、世界経済がさらに深刻化するのを防いだとされる中国も、今年の成長率が5%に達しないとみられていることを考えると、ゲオルギエワ専務理事の言葉も正鵠を射ているかもしれません。

 本日のドル円は130円~132円程度を予想しますが、大きな値動きには引き続き注意が必要です。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

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