【為替本日の注目点】ユーロドル昨年4月以来の高値を示現

為替

サーチナ

2023/1/12 10:20

ひと目でわかる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は132円台で推移。132円台後半までドル高が進むも、今夜のCPI発表を控え上値は限定的だった。ユーロドルは続伸し、1.0776まで上昇。昨年4月25日以来となる高値に。株式市場は3指数が揃って続伸。今夜のCPIが市場予想よりも下振れするとの観測が根強く、ダウは268ドル高。債券は反発。長期金利は3.53%台に低下。金は続伸。一時は1890ドルまで買われ、昨年5月以来の高値に。原油も買われ、これで5日続伸。中国の景気回復観測が支えに。

マーケット情報

ドル/円 132.27 ~ 132.80

ユーロ/ドル 1.0734 ~ 1.0776

ユーロ/円 142.24 ~ 142.85

NYダウ +268.91 → 33,973.01ドル

GOLD +2.40 → 1,878.90ドル

WTI +2.29 → 77.41ドル

米10年国債 -0.080 → 3.539%

本日の注目イベント

豪 11月貿易収支

日 11月貿易収支

日 11月国際収支

日 12月景気ウオッチャー調査

日 日銀地域経済報告(さくらリポート、1月)

中 12月消費者物価指数

中 12月生産者物価指数

台 企業決算 → TSMC(台湾)

欧 ECB経済報告

米 12月消費者物価指数

米 新規失業保険申請件数

米 12月財政収支

米 ブラード・セントルイス連銀総裁、オンラインイベントに参加

米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演

米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演

加 日加首脳会談

 市場では今夜発表される米12月の消費者物価指数(CPI)が予想を下回るとの観測が依然根強く、NY株式市場では主要3指数が揃って大幅続伸しました。前日と異なったのは、債券も買われ金利は低下しています。金利低下にドルは売られ、ユーロドルでは「ドル安ユーロ高」が進みましたが、ドル円は逆行高となり、132円80銭(NY時間10時前には132円88銭)までドルが買われています。ユーロドルでドル安が進んだことで金は小幅ですが続伸し、1900ドルを目指す動きになっています。

 12月のCPIは前月の「7.1%」から「6.5%」に減速すると見られていますが、市場ではさらに「0.1%程度」低下するとの見方が広がっており、株式市場からは「CPIが予想通りか、予想を下回る内容となれば、相場は上昇する可能性が高い。一方で、強い数字となれば、想定がたやすく崩れてしまう恐れがある。景気にとって良いニュースは市場にとって良いニュースとなり得る」といった声も聞こえてきました。(ブルームバーグ)仮に予想を下回る結果になるようだと、FRBによる利上げ継続の根拠も弱まり、ドルが徐々に売られる展開が予想されます。

 今月31日―2月1日に開催される今年最初のFOMCでは0.5ポイントの利上げがコンセンサスですが、ボストン連銀のコリンズ総裁は11日、NYタイムズとのインタビューで、「25(ベーシスポイント)ないし、50が妥当だろう。私自身は現時点で25に傾いているが、あくまでもデータ次第だ」とし、「われわれは利上げを停止する水準に近づいており、ゆっくりと調整することで、毎回の判断を下す前に入手する情報を精査する時間が増える。より小幅な変更を行うことで、われわれの柔軟性は高まる」と語っています。(ブルームバーグ)コリンズ総裁は今年のFOMCでの投票権を持っていませんが、タカ派寄りの発言が相次ぐ中、かなりハト派寄りとして特筆できます。タカ派の代表的な存在だったセントルイス連銀のブラード総裁も最近の発言では変化も見られてきたことから、労働市場が依然として好調とはいえ、FRBの金融引き締めにもやや終点が見えてきたと考えられるかもしれません。予想では今回の会合で0.5ポイントの利上げを行い、3月に最後の0.25ポイントの利上げを実施した後、その効果を見極めるため様子を見るといったシナリオがメインですが、今夜のCPIが予想を下回るようなら、その可能性がさらに高まります。

 ユーロドルが堅調な動きを見せています。昨年9月には0.95台半ばまで売られましたが、昨日は1.0776近辺までユーロ高が進み、この間の上昇率は13%程になります。ユーロ圏では、成長が鈍化しているところにロシアによるウクライナ侵攻が勃発し、ロシア産の天然ガスに大きく依存していたドイツを中心に「エネルギー危機」が深刻な問題となり、そこに米国を上回るインフレが直撃しました。米国よりもリセッション入りの可能性が高いと見られたユーロ圏では、米国のように思い切った大幅利上げには踏み切れず、おりからの「ドル高の波」に押される格好でユーロ安が進みました。その後はドル高の修正局面が訪れ、ECBが大幅利上げに踏み切ったこともあり、昨年11月辺りからユーロの買い戻しが進みました。加えて、今年に入り「異例な暖冬」が欧州に広がり、「エネルギー危機」が後退したこともユーロ高につながっています。ECB高官からは引き続き大幅利上げを示唆する発言が続いていることもユーロを支えています。テクニカルでもユーロドルの上昇は鮮明です。すでに「日足」でのレジスタンスは全て抜き去り、「週足」の「一目の雲の上限」である1.0935-40近辺が重要な上値のメドと予想しています。ユーロドルでの「ドル安ユーロ高」は、ドル円でも「ドル安円高」として影響を受けやすい動きになります。

 本日のドル円は130円~133円程度とワイドに予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

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・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

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