【為替本日の注目点】日銀決定会合を前に、ドル円神経質な動きに

為替

サーチナ

2023/1/18 10:21

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 日銀決定会合を前にドルの買い戻しが入り、ドル円は東京から欧州では129円台に乗せる場面も。NYではドル売りが優勢となり128円前後まで下落。ユーロドルは水準をやや切り上げたが、1.08台後半がやや壁になりつつあることから、1.09台には届かず。株式市場ではダウが、ゴールドマンやトラベラーズの決算発表を受け大きく下落。一方ナスダックは小幅ながら7日続伸。債券は下落。長期金利は3.54%台に上昇。金は反落。原油は続伸し、これで8日連騰。昨年12月1日以来引け値で80ドル台に乗せる。

マーケット情報

1月NY連銀製造業景況指数 → -32.9

ドル/円 127.99 ~ 128.77

ユーロ/ドル 1.0775 ~ 1.0870

ユーロ/円 138.20 ~ 139.61

NYダウ -391.76 → 33,910.85ドル

GOLD -11.80 → 1,909.90ドル

WTI +0.32 → 80.18ドル

米10年国債 +0.044 → 3.548%

本日の注目イベント

日 11月鉱工業生産

日 日銀金融政策決定会合。 終了後に結果と展望リポート公表

日 黒田日銀総裁記者会見

欧 ユーロ圏12月消費者物価指数(改定値)

英 1月消費者物価指数

米 12月小売売上高

米 12月生産者物価指数

米 12月鉱工業生産

米 12月設備稼働率

米 1月NAHB住宅市場指数

米 ベージュブック(地区連銀経済報告)

米 ローガン・ダラス連銀総裁講演

米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、会合で挨拶

米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演

米 イエレン財務長官、中国の劉鶴副首相と会談(チューリヒ)

米 企業決算 → アルコア

 昨日の東京時間やその後の欧州時間で、ドル円は129円台前半まで上昇する場面もありましたが、130円を試す展開ではありませんでした。本日の日銀金融政策決定会合で、何らかの修正があるとの見方が先行していたことでドル円は16日の東京市場で127円22銭まで売られましたが、発表前にポジション調整が入ったようです。

 本日の決定会合では政策変更はないとの見方が市場のコンセンサスですが、債券市場では金利上昇圧力が続いています。昨日も長期金利は上限の「0.5%」を超え、「0.505%」を付ける局面がありました。たかが「0.005%」の話ですが、日銀が許容範囲の上限を「0.5%程度」と決めていることが市場をナーバスにさせ、投機的な動きと日銀の攻防が続いています。もっとも、投機的な動きとは一概に言えず、本来市場にあるべき機能に沿った動きとも言えます。上限超えは、これで3営業日連続となり「たかが0.005%」ですが、「されど0.005%」といった状況です。債券トレーダーの中には、「イールドカーブ・コントロール(YCC)の修正がある」との立場に立っている人も多いとのことです。個人的には先月長期金利の上限を「0.5%」に拡大したこともあり、日銀の信頼性という観点からも再度の上限引き上げはないと予想していますが、修正の内容はこれだけではないと考えられるため、正直不透明感が強いと言えます。「トレーダーはドル円がいずれかの方向に2%以上変動する可能性にかけている」とブルームバーグは報じていますが、これはボラティリティーの変化から推測しているようです。ドル円が大きく動けばボラティリティーが急上昇し、利益が得られるポジションが膨らんでいるようです。決定会合の発表は、会合終了後となっており、発表時間はFOMCのように事前に決まっているわけではありません。因みに前回12月の会合では12時前に発表があり、ドル円はこの日だけで6円を超える下落を記録したことは、記憶に新しいところです。どのような変化があるかは分かりませんが、ポジション管理は怠らないよう、準備をお願いしたいと思います。

 1月のNY連銀製造業景況感指数は「-32.9」と、市場予想の「-8.6」から大きく下振れしていました。2020年5月以来の低水準となり、項目別でも、仕入れ価格、販売価格、新規受注、出荷、さらには雇用者数など、ほぼ全てでマイナス幅を拡大しています。FRBによる景気抑制効果が出て来たと見られますが、本来このような結果には、株高、債券高、そしてドル安で反応するケースが多く見られてきましたが、昨日の動きは異なりました。株と債券が売られ、金利が上昇したにもかかわらずドルが売られています。株価はゴールドマンや保険大手トラベラーズの決算発表を受け、両社の株価が大きく売られたことによるものです。ドル円の下落はやはり、本日の日銀会合を巡る思惑が金利高を凌駕したものと考えられます。

 ウクライナのゼレンスキー大統領はスイスで行われている「ダボス会議」でスピーチを行い、ウクライナ人の解放を訴え、既存の問題が本格的な世界危機とならないよう、ロシアの攻撃を封じ込めるための取り組みで団結するよう会議参加者に強く求めていました。一方、ウクライナを支援する武器供与では同盟国との足並みの違いを指摘されているドイツのショルツ首相はブルームバーグとのインタビューで、「使える手段を全て用いて必要な限りウクライナを支援する」と述べ、「この戦争がロシアとNATOの直接衝突にエスカレートすることは常に回避する」と語っています。

 本日のドル円は予想も立てにくく、126円~130円と、かなりワイドです。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

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