【為替本日の注目点】ECB、BOEともに0.5ポイントの利上げを決定

為替

サーチナ

2023/2/3 10:15

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 前日のFOMCで今後の利上げ停止観測の浮上もあり、ドル円は上値の重い展開に。NYでは128円08銭まで売られたが、その後は株価の上昇などもあり128円台半ばまで反発。ユーロドルは小幅に反落。ECBが0.5ポイントの利上げを決めたものの、今後様子見の可能性も言及されていたことで売りが優勢に。株式市場は前日同様まちまち。ダウは39ドル下げたものの、ナスダックとS&P500は大幅高。とりわけナスダックはメタが大幅に上昇し、指数をけん引。債券も続伸。長期金利は3.39%台に低下。金と原油は続落。

マーケット情報

新規失業保険申請件数 → 18.3万件

12月製造業受注 → 1.8%

ドル/円 128.08 ~ 128.90

ユーロ/ドル 1.0885 ~ 1.1004

ユーロ/円 140.08 ~ 141.28

NYダウ -39.02 → 34,053.94ドル

GOLD -12.00 → 1,930.80ドル

WTI -0.53 → 75.88ドル

米10年国債 -0.024 → 3.393%

本日の注目イベント

中 1月財新サービスPMI

中 1月財新コンポジットPMI

トルコ 1月消費者物価指数

欧 ユーロ圏12月卸売物価指数

欧 ユーロ圏1月サービス業PMI(改定値)

欧 ユーロ圏1月総合PMI(改定値)

米 1月雇用統計

米 1月ISM非製造業景況指数

米 1月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)

米 1月S&PグローバルコンポジットPMI(改定値)

米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、フォックス・ビジネスとインタビュー

 市場予想通り、ECBとBOEは揃って政策金利を0.5ポイント引き上げました。ECBは声明で、「次回3月の政策決定会合でも0.5ポイントの引き上げを実施する意向だ。それから、その後の金融政策の道筋について検証する」としています。ラガルド総裁は会見で、「非常に極端な展開以外で、3月の0.5ポイント利上げが起こらないシナリオというのは考えられない」と指摘し、「中期で2%というインフレ目標達成への中銀の決意を疑うべきではない。金利が景気抑制的な領域に達した後、十分に長くその水準にとどまるだろうという事実にも疑問の余地はない」と説明しています。ブルームバーグの記事には、この会見の様子も添付されており、見ることができますが、ラガルド総裁は身振り手振りを交えて、全身でその説明を行っていました。単に、手許の「カンペ」を読むのではなく、まるで少人数の座談会で自分の意見を述べているように、フレンドリーで、極めて平素な言葉で説明していました。ビデオを見て、中銀の政策意図を丁寧に説明し、出来るだけ市場と対話をしようとする、その姿勢には好感が持てます。3月の会合でも追加利上げを行う可能性が高いとしながらも、その後停止することも十分あり得るとのメッセージが、欧州市場の株価を大きく上昇させ、これがNY株式市場にも好影響を与えています。

 BOEも政策金利を0.5ポイント引き上げ、これで2021年12月の引き締め開始以来10回連続で利上げを行っています。その結果政策金利は4%に達し、2008年以来の高水準になっています。ベイリー総裁は会見で、「インフレは山を越えたが、低下はまだ始まったばかりで、リスクは極めて高い。中銀は政策姿勢を変更する前に、絶対的な確信を持つ必要がある」と語っています。FRBに続き、ECB、BOEが追加利上げを実施したことで、日銀の緩和政策の継続がいやが上にも目立ちます。いずれ日銀も政策変更を余儀なくされるとの根強い観測から、投機筋らは日本国債の「空売り」を継続しています。日銀は、これに立ち向かう姿勢を示し、国債の価格が下がらない(金利が上昇)よう買い支えています。今週1日には、1日当たりの買い入れ額としては過去最大となる23兆6902億円の国債を買い入れています。これだけの額を買い入れたということは、それだけ売り物があったということとなり、市場の金利上昇圧力の強さを物語っています。

 本日3日には、EUとウクライナのサミットが開催されます。ウクライナの集合住宅に対するロシアの攻撃は止まず、多くの民間人が犠牲になっている中、侵攻開始1年を前に攻撃は激しさを増しています。欧米がウクライナへ数多くの戦車の供与を決めているため、ロシアはその前に一気に攻撃を強めるとの観測もあるようです。プーチン氏は2日、「戦場で負けるわけにはいかない」と述べており、ゼレンスキー大統領は戦車以外にも、米国のF16戦闘機などの供与も要請しています。ウクライナでは、来週からドイツ製戦車「レオパルト2」の訓練が開始されるとのことです。

 今夜10時半には米1月の雇用統計が発表されます。非農業部門雇用者数は「18万9000人」と予想されており、12月の「22万3000人」からは減少すると見られていますが、仮にこの程度の数字であったら、労働市場では依然として景気抑制策の効果は出ていないと考えられそうです。週間失業保険申請件数は低水準が続いており、FRBが目指す物価目標にとっての「障害」をなかなか取り除くには至らない状況が続いています。本日のドル円は127円50銭~130円程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

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・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

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