ワイヤレスG、WiMaX契約数の拡大続く――今期は新領域も本格化

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2023/2/15 12:00

 MVNO(仮想移動体通信事業者)のワイヤレスゲート(=ワイヤレスG、9419)は今12月期、営業利益が前期からおよそ1割拡大する見通し。主力の無線通信技術規格「WiMaX」の契約件数が増加基調を維持するほか、新たな事業領域への展開にも着手する。

主力商品WiMaXは7年ぶり契約件数純増、周辺商材着実増

 マーケティング支援の子会社を吸収合併したことで、今期から単体決算に移行する。14日に発表した営業利益の計画は2億900万円(前期比9.6%増)。2021年12月期(2億1100万円の営業赤字<単体ベース>)を底に業況の改善が進み、今期は持分法適用関連会社の投資損失も計上されなくなることから、税引き利益は1億4600万円(前期は連結ベースで2600万円、単体1億9500万円)を予想する。

 WiMaXの契約件数は昨年末時点で13.8万件となり、通年では7年ぶりの純増(21年末は13.5万件)を達成した。大容量プランの導入により利便性が向上し、ホームルーター市場での競争力が高まったことが背景にある。また、提携代理店数の拡大策も奏功した。また、「スマホ保険」、「ピカプロDX」などの周辺商材の契約数も着実に伸びている。

 収益性を上げるための施策も進めている。一例として、通信インフラサーバを前期末にKDDI(9433)に集約した。これにより、運用リスクの軽減と同時にコスト削減が見込まれる。さらに、基幹システムサーバーをクラウド化し、事業開発と協業との連携を加速する。

「外食DX」支援をはじめとする新規顧客開拓に的

 今期末のWiMaXの契約件数は14.2万件を目指す。ヨドバシカメラなど主要販路との協業を深化して新規顧客の獲得を継続し、メールや電話のほか、チャットなどのコミュニケーションチャネルを駆使して既存顧客との関係強化を図る。解約率の低下につなげる構えだ。

 新たにDX(デジタルトランスフォーメーション)分野の取り込みも進める。既に開始している販売代理店へのDXシステムの提供に加え、外食産業を開拓する。モバイルオーダーから決済、予約機能まで同産業のIT化需要は大きい。ワイヤレスGは居酒屋チェーン「塚田農場」で知られるエー・ピーホールディングス(=APHD、3175)に対し、店内のWi-Fi環境改善を支援した。

 株価は昨年終盤ごろに全体相場とともに値を崩したものの、今年に入り下値を固めつつある。既存事業が成長軌道に回帰する中、新規分野の拡大期待も高まり、相場は出直りムードが増してきそうだ。

(写真:123RF)

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