海外株式見通し=米国、香港
【米国株】グロース株復活の「方程式」は?

昨年11月にOpenAIがリリースした対話型AI(人工知能)の「ChatGPT」の勢いが止まらない。今年2月、リリースから約2カ月で全世界のユーザーが1億人を突破。今月2日にAPIが公開されたことから業務用アプリケーションへの活用も活発化している。
マイクロソフト(MSFT)はOpenAIと提携し、最大100億ドルを出資する方針。ChatGPT採用のAI検索エンジン「Bing」もブラウザ「Microsoft Edge」に搭載され始めた。
こうした動きに呼応し、半導体大手エヌビディア(NVDA)の経営陣は直近、AIの演算に使うための半導体に「強い需要がある」と述べた。さらに、「AIは転換点を迎えた」としている。
AI向け半導体の主戦場は、ネット経由で仮想的に利用環境を提供する「クラウドコンピューティング」とみられる。また、大量のデータをどのように収集・加工するのかについては、データベースやデータが格納されたデータウエアハウスの性能も高めていく必要があるだろう。
マルチクラウド対応のデータウエアハウス企業のスノーフレーク(SNOW)や、汎用データベース・プラットフォーム開発のモンゴDB(MDB)などが好機を迎えていそうだ。
これらの企業はグロース(成長)株に位置付けられる。グロース銘柄といえば、将来の大きな利益成長を期待して金利低下時に割高に買われるイメージが強い。ところが、直近の決算発表ではグロース銘柄の進化がみられる。
メタ・プラットフォームズ(META、旧フェイスブック)は今年の経営テーマを「効率の年」としている。コスト削減に加えて新たに400億ドルの自社株買いも発表。セールスフォース(CRM)もアクティビストからの圧力にさらされる中で資本効率を優先する方針に転換し、自社株買い枠を200億ドルに拡大した。株価急落の洗礼を受けた後に、経営改革によって利益率やキャッシュフロー面でも卓越したより強い企業となることが、グロース株復活の「方程式」なのかもしれない。
【香港株】全人代代表・政協委員の国策銘柄、AI関連に注目
中国で5日に開幕した全国人民代表大会(全人代)の代表、および助言機関である全国政治協商会議(政協)の委員の多くに、「軍工集団」と呼ばれる国有の軍系企業の経営者が選ばれたと報じられている。軍民一体で「新型挙国体制」を構築し、強国路線を加速する狙いとみられる。
軍系企業では、チャイナ・エアロスペース・インターナショナルHDを傘下に有する国有企業の、中国航天科技集団が注目される。また、半導体・ハイテクでは、中国の音声認識技術大手でAIやソフトウエアと半導体の開発などを手掛けるアイフライテック、半導体受託生産最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)、深層学習技術を応用したAIと顔認識技術の研究と開発を手掛ける商湯集団(センスタイム)、中国科学院傘下でAIチップの開発と生産を手掛けるカンブリコン・テクノロジーズなどの経営者が選ばれた。
これらの企業は米国の「エンティティー・リスト」に含まれ、禁輸対象にされたことがある。
政協に資源と環境分野を専門に扱う「環境資源界」が新設され、資源分野で政協の委員に選出されたのは、石油・天然ガス生産で中国最大のペトロチャイナを擁する中国石油天然気集団、海底油田の探査・開発などを手掛けるCNOOCを傘下に持つ中国海洋石油集団に加え、2021年12月に国有資源大手のレアアース(希土類)部門を統合して設立された、チャイナ・レアアースHD(769/香港)の親会社の中国稀土集団など。米国からの制裁の影響を受けにくいサプライチェーンの再構築に注力するもようだ。
昨年9月末から直近までの株価パフォーマンスは、AI関連事業を手掛ける銘柄が上位を占めている。新型挙国体制を背景に、今後も期待が高まる。
※右の画像クリックでグラフ拡大
(フィリップ証券リサーチ部・笹木和弘)
(写真:123RF)
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