【為替本日の注目点】ドル円1カ月半ぶりに129円台半ばまで下落

為替

サーチナ

2023/3/27 10:11

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 130円台維持を続けていたドル円は欧州時間にドル売りが加速し、2月3日以来となる129円65銭まで下落。NYではセントルイス連銀総裁の発言などもあり、ドル円は反発。130円台後半まで上昇する。ドル安の中、ユーロドルは上値が重く1.07台で推移。株式市場は欧州で銀行株下落の影響を受け小安く始まったものの、引けでは3指数が揃って上昇。債券は続伸。長期金利は3.37%台へと低下。金は3日ぶりに反落。原油も売られ、69ドル台前半に。

マーケット情報

3月S&Pグローバル製造業PMI(速報値) → 49.3

3月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値) → 53.8

3月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値) → 53.3

2月耐久財受注 → -0.1%

ドル/円 129.85 ~ 130.90

ユーロ/ドル 1.0724 ~ 1.0767

ユーロ/円 139.28 ~ 140.85

NYダウ +132.28 → 32,237.53ドル

GOLD -12.10 → 1,983.80ドル

WTI -0.70 → 69.26ドル

米10年国債 -0.050 → 3.376%

本日の注目イベント

日 1月景気先行指数(CI)(改定値)

中 馬英九・前台湾総統、中国訪問

独 3月ifo景況感指数

欧 2月マネーサプライ

英 ベイリー・BOE総裁講演

 上値の重い展開が続いていた中でも130円台を維持していたドル円は、ついに欧州時間に130円台を割り込み、129円65銭と、2月3日以来のドル安水準を付けました。米国発の金融システム不安が欧州にも伝播し、クレディスイスの経営危機が一気に表面化。UBSによる買収もありましたが、依然として金融不安はくすぶり続けています。先週末の欧州では、各国主要銀行の株価が大きく売られ、「第二のクレディスイス探し」をする動きになっています。ドイツではドイツ銀行、イギリスではバークレーズ銀行、さらにフランスでもソシエテジェネラル銀行など、金融株が大きく下げています。

 銀行株の大幅安を背景に「リスクオフ」が加速し円が買われ、ドル円は129円台半ば、ユーロ円も139円目前まで売られ、「円全面高」の様相でした。「安全通貨」としての円の存在が意識されるのは久しぶりの印象ですが、今回の金融不安が「米国発」だったことと、3月のFOMC会合でも、インフレ阻止を優先し0.25ポイントの利上げを決めたことで、米経済のリセッション入りの可能性が高まってきたとの観測もあり、結局、ドルもユーロも買えないということから、「消去法的に円が選好された」と考えています。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は26日、CBS番組でのインタビューで、銀行問題がリセッションをもたらすかどうかを問われ、「明らかに近づいている」と答え、「銀行セクターのストレスが広範な信用逼迫にどの程度つながるか不明だ。景気減速につながるかどうかを注意深く見守っている」と語っています。足下では、「安全通貨の円」「避難通貨の円」が戻ってきたようですが、この傾向がこのまま続くかどうかは不明です。欧州を除けば、日本は北朝鮮、中国、台湾、あるいはロシアなどと地理的に近く、「地政学的リスク」はかなり高いと言えるでしょう。一旦、130円を割り込んだドル円の次の焦点は、1月に記録した127円22銭を割り込む円高が進むかどうかです。

 FRBが24日に発表したデータでは、シリコンバレー銀行(SVB)などの破綻で、15日までの週に中小金融機関の預金は1200億ドル(約15兆6000億円)減少し、リーマンショック時をも上回り、過去最大の落ち込みとなっています。一方大手銀行25行の預金は670億ドル増加したと報告されています。さらに、引き出された預金は、MMF(マネー・マーケット・ファンド)にも多く流れており、米国では「Flight to quality」(質への逃避)が高まっています。今朝の報道では、米国のバレー・ナショナル・バンコープとファースト・シチズンズ・バンクシェアーズの2行が、破綻したSVBの買収を目指しているとあります。また、クレディスイスに関しても、「スイス政府が介入して救済しなければ、クレディスイス・グループはあと1営業日を生き延びることができなかった」と、同国のケラーズッター財務相が明らかにしています。(ブルームバーグ)スイス金融当局は早くからクレディスイスの経営リスクを察知していたようです。

 ベラルーシがロシアの同盟国であることはよく知られていますが、プーチン氏は同国に「戦術核兵器」を配備することを明らかにしました。米国はこれに対して、「米当局はロシアの発表について認識しており、その影響を監視する」と、国家安全保障会議(NSC)の報道官は述べています。ロシアのウクライナでの戦況はそれほど好転しておらず、加えて、日米のトップがウクライナを電撃訪問するなど、プーチン氏としても劣勢を打開したいといった焦りもありそうです。欧米もウクライナへ約束した武器や弾薬の発送を早めており、雪解けとともに戦況はさらに激しくなる気配です。

 本日のドル円は129円50銭~131円50銭程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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