【GW特集】日本株は「セル・イン・メイ」乗り越え――注目テーマから選ぶ有力銘柄(4)「物言う株主」活発化
マーケットを取り巻く不透明な外部環境は、日本株の先行きにも影を落とす。ただ、独自の好材料に目を向けると、米国や他の海外諸国にはない魅力が本邦相場には息づいている。ゴールデンウイーク(GW)にお届けする特集として、有力銘柄を探った。
東証の低PBR是正で勢い
3月期決算企業の株主総会を控え、アクティビスト(物言う株主)の動きが活発化しつつある。東証がPBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業に状況改善を求めたことも相まって、自社株買いや増配、事業再編や人事をめぐる外部圧力が株価の上昇につながる可能性がある。
株主還元の拡充を通じて低PBRからの脱却を目指す企業が続出しているのは、アクティビストの存在も一因だ。実際、旧村上ファンド系の投資ファンドが大量保有するコスモエネルギーホールディングス(5021)は3月に、今後3カ年累計で総還元性向を60%以上とする中期経営計画を発表。大日本印刷(7912)もアクティビストに呼応する形で大規模な自社株買いを打ち出した。
物言う株主は還元のほかにも、役員の派遣などで経営改革を迫るほか、親子上場企業に資本関係の解消を求めるケースもある。増配や自社株買いはPBRの向上に結び付くため、東証の号令とも同じベクトルの向きだ。
北越コーポや鳥居薬注目
こうしたことから、主な投資ファンドの大量保有銘柄には注目が集まる。旧村上ファンド系ではコスモエネHのほか、テクノスマート(6246)も株主還元の目標を拡充した。
オアシスマネジメントは北越コーポレーション(3865)に対して、過去にも構造改革やROE(株主資本利益率)の改善などを求めており、株価2000円超の企業価値が潜在するという独自の分析を作成した。現在の株価は900円前後で推移し、PBRは0.7倍程度にとどまる。
一方、旧村上ファンド系のエフィッシモ キャピタル マネージメントが6%近くを保有する鳥居薬品(4551)は、親会社のJT(2914)との関係が思惑視されそうだ。今年1月には香港の投資ファンドが、JTに鳥居薬株の売却を求めたと伝わった。
シルチェスター・インターナショナルは大成建設(1801)、戸田建設(1860)を大量保有するほか、シティインデックスイレブンスも三井住友建設(1821)や東亜建設工業(1885)、大豊建設(1822)に触手を伸ばすなど、ゼネコン株もターゲットになりやすい。シルチェスターは大林組(1802)に特別配当の実施を求める株主提案をしたといい、戸田建設(1860)にはフランスの投資会社が自社株買いを要求している。
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(写真:123RF)
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