【為替本日の注目点】米債務上限問題が再び不透明に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円はNYの朝方には138円76銭まで買われたが、債務上限問題で再び不透明感が出たことでドルが急落。137円74銭まで売られ、137円台後半で越週。ユーロドルも朝方は1.0783近辺まで下げたが、その後反発。1.0828まで買われたが動きは限定的。株式市場は債務上限問題懸念から3指数が揃って反落。ダウは109ドル下げ、ナスダックは30ポイントの下落。債券は6日続落。長期金利は3.67%台に上昇。金は反発し、原油は続落。
マーケット情報
ドル/円 137.44 ~ 138.65
ユーロ/ドル 1.0783 ~ 1.0828
ユーロ/円 148.71 ~ 149.80
NYダウ -109.28 → 33,426.63ドル
GOLD +21.80 → 1,981.60ドル
WTI -0.31 → 71.55ドル
米10年国債 +0.027 → 3.673%
本日の注目イベント
欧 5月消費者信頼感指数
米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
米 バイデン大統領とマッカーシー下院議長が債務上限問題で会談
米 バーキン・リッチモンド連銀総裁とボスティック・アトランタ連銀総裁、会合で討論会
この週末は「G7広島サミット」一色でした。ウクライナのゼレンスキー大統領の特別参加もあり、大いに盛り上がった印象でした。インフレ抑制と世界経済、あるいはグローバル・サウスといた諸問題もありましたが、結局は「G7がウクライナ支援で結束できるのか」が最大のテーマだったようです。ゼレンスキー氏は、近いうちにロシアへの攻勢を仕掛ける計画があるのか、各国により強力な支援を求める姿勢を強めていました。ゼレンスキー氏が欧州を歴訪し、さらに中東に飛び、極めてタイトな日程の中、インド、韓国などG7以外の国々も一堂に会する「HIROSHIMA」まで飛んできたかいがあったのか、支援を取り付けることに成功しています。米国は欧州同盟国による主力戦闘機「F16」の供与を認め、ウクライナ軍のパイロットの訓練を支援することも発表しました。さらに大砲や弾薬など3億7500万ドル(約520億円)相当の追加軍事支援を行うことも決めました。ゼレンスキー氏にとって、サウジアラビアから9000キロも離れている「HIROSHIMA」まで飛んできた意義は十分あったかと思われます。
今回のG7では各国首脳が若いという印象もありました。フランス、カナダ、イギリス、イタリアの4カ国首脳は40歳代かと思われます。いやでもバイデン大統領の「歳」が目立ちましたが、そのバイデン氏にとっては、サミットも重要でしたが、それ以上に気になっていたのが自国の「債務上限問題」だったことでしょう。広島での最後の会見も終始その問題に触れており、日本から大統領専用機で帰国する途中にもマッカーシー下院議長と話し合った模様です。両氏とも「合意」には引き続き楽観的な見方を示していますが、21日午後6時(日本時間22日午前7時)には再度協議を行うと発表されています。イエレン財務長官はNBCの番組で、「税収と歳出については常に不透明性が伴うものだ。この件で絶対に確実だと言うのは難しいが、私の判断では全ての支払い能力を維持しながら6月15日を迎える確率は極めて低い」と述べています。6月中旬には税収が見込まれることから、「6月15日に入る税収は有意な規模になる。しかし、同月上旬、私の解釈ではそれより前の日を迎えるのは非常に厳しいだろう」との見方を示しました。(ブルームバーグ)
先週末、パウエル議長はバーナンキ元議長との討論会に臨み、10会合連続で引き上げた政策金利に関して、「追加引き締めが適切か、何の決定も下していない」と述べています。また、「結果的に政策金利をそれほど上げる必要はないかもしれない」と述べながらも「インフレ抑制に失敗すれば(人々の感じる)痛みが長引くだけでなく、最終的に物価の安定を取り戻すための社会コストがより増えることになる」とも話しています。そして、「これまでのところ、インフレ抑制に時間がかかるというFOMCの見方を支持している」と結んでいました。(日経新聞)19日にはFOMCメンバーであるミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も発言を行っており、同総裁は、過去の利上げによる影響とインフレ見通しを見極める時間の余裕が生じているとして「ここからはもう少し速度を落としてもいいだろうという考えを排除しない」と述べ、6月会合では政策金利の据え置きを支持する可能性を示唆していました。
6月のFOMC会合は13-14日に開催されます。上述のように、イエレン財務長官は「6月15日の前には」と述べているように、ちょうど会合開催日とは重なるタイミングになります。それまでに「合意」がなされなければ、利上げが見送られる可能性がかなり高くなると予想しますが、今後のデータにもよると思いますが、筆者は政策金利据え置きに傾いています。
本日のドル円は137円~138円80銭程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm
・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
関連記事
-
SOMPOHが7日続伸し連日で年初来高値、上限700万株の自己株取得枠を設定
2023/5/22 10:11
SOMPOホールディングス(SOMPOH)が7日続伸。一時157円高の6184円を付け、連日で年初来高値を更新した。前週末19日引け後、自己株取得枠を設定したと発表、材料視された。 ・・・…続き
-
<米国株情報>モルガンS、ゴーマンCEOが年内退任へ―後継者候補は3事業のトップ3人
2023/5/22 10:09
証券大手モルガン・スタンレー<MS>のジェームス・ゴーマン会長兼CEO(最高経営責任者)は19日の株主総会で、年内にCEOを退任する意向を明らかにした。 ゴーマンCEOは、機関投資家向け証券(IS)・・・…続き
-
<米国株情報>ブロードコムとVMウエア、買収期限の3カ月延長で合意
2023/5/22 10:08
通信用半導体大手ブロードコム<AVGO>は、コンピューター仮想化ソフトウエア世界最大手ブイエム・ウエア<VMW>の買収期限を3カ月延長し、8月26日とすることで合意したと発表した。8月26日までに買・・・…続き
-
(再送)日経平均は45円高、利益確定売り先行も上げ転換
22日午前10時時点の日経平均株価は前週末比45円95銭高の3万854円30銭。朝方は、日経平均が前週末に7連騰し、バブル経済崩壊後の最高値を更新した反動で利益確定売りが先行した。19日の米国株安や・・・…続き
-
10時の注目株=旅行需要の拡大や訪日外客数回復が追い風――共立メンテを拾う
2023/5/22 10:00
共立メンテナンス(共立メンテ)を拾いたい。同社の24年3月期の連結業績は、売上高1980億円(前期比12.7%増)、営業利益100億円(同36.5%増)を計画。今期は、ビジネスホテル・・・…続き
速報ニュース
-
46時間前
-
46時間前
-
48時間前
-
225オプション・コール(期近・5月17日・権利行使価格3万9500円)
48時間前
-
225オプション・プット(期近・5月17日・権利行使価格3万8000円)
48時間前
-
48時間前
-
48時間前
-
17日のPTS注目ポイント=大和証G、信越化、アーレスティなど
48時間前
-
48時間前
-
来週の東京外国為替市場見通し=日米の金融政策に対する姿勢を見極め、イエレン米財務長官の発言にも注意
48時間前