【為替本日の注目点】米債務上限問題が再び不透明に

為替

サーチナ

2023/5/22 10:15

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円はNYの朝方には138円76銭まで買われたが、債務上限問題で再び不透明感が出たことでドルが急落。137円74銭まで売られ、137円台後半で越週。ユーロドルも朝方は1.0783近辺まで下げたが、その後反発。1.0828まで買われたが動きは限定的。株式市場は債務上限問題懸念から3指数が揃って反落。ダウは109ドル下げ、ナスダックは30ポイントの下落。債券は6日続落。長期金利は3.67%台に上昇。金は反発し、原油は続落。

マーケット情報

ドル/円 137.44 ~ 138.65

ユーロ/ドル 1.0783 ~ 1.0828

ユーロ/円 148.71 ~ 149.80

NYダウ -109.28 → 33,426.63ドル

GOLD +21.80 → 1,981.60ドル

WTI -0.31 → 71.55ドル

米10年国債 +0.027 → 3.673%

本日の注目イベント

欧 5月消費者信頼感指数

米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演

米 バイデン大統領とマッカーシー下院議長が債務上限問題で会談

米 バーキン・リッチモンド連銀総裁とボスティック・アトランタ連銀総裁、会合で討論会

 この週末は「G7広島サミット」一色でした。ウクライナのゼレンスキー大統領の特別参加もあり、大いに盛り上がった印象でした。インフレ抑制と世界経済、あるいはグローバル・サウスといた諸問題もありましたが、結局は「G7がウクライナ支援で結束できるのか」が最大のテーマだったようです。ゼレンスキー氏は、近いうちにロシアへの攻勢を仕掛ける計画があるのか、各国により強力な支援を求める姿勢を強めていました。ゼレンスキー氏が欧州を歴訪し、さらに中東に飛び、極めてタイトな日程の中、インド、韓国などG7以外の国々も一堂に会する「HIROSHIMA」まで飛んできたかいがあったのか、支援を取り付けることに成功しています。米国は欧州同盟国による主力戦闘機「F16」の供与を認め、ウクライナ軍のパイロットの訓練を支援することも発表しました。さらに大砲や弾薬など3億7500万ドル(約520億円)相当の追加軍事支援を行うことも決めました。ゼレンスキー氏にとって、サウジアラビアから9000キロも離れている「HIROSHIMA」まで飛んできた意義は十分あったかと思われます。

 今回のG7では各国首脳が若いという印象もありました。フランス、カナダ、イギリス、イタリアの4カ国首脳は40歳代かと思われます。いやでもバイデン大統領の「歳」が目立ちましたが、そのバイデン氏にとっては、サミットも重要でしたが、それ以上に気になっていたのが自国の「債務上限問題」だったことでしょう。広島での最後の会見も終始その問題に触れており、日本から大統領専用機で帰国する途中にもマッカーシー下院議長と話し合った模様です。両氏とも「合意」には引き続き楽観的な見方を示していますが、21日午後6時(日本時間22日午前7時)には再度協議を行うと発表されています。イエレン財務長官はNBCの番組で、「税収と歳出については常に不透明性が伴うものだ。この件で絶対に確実だと言うのは難しいが、私の判断では全ての支払い能力を維持しながら6月15日を迎える確率は極めて低い」と述べています。6月中旬には税収が見込まれることから、「6月15日に入る税収は有意な規模になる。しかし、同月上旬、私の解釈ではそれより前の日を迎えるのは非常に厳しいだろう」との見方を示しました。(ブルームバーグ)

 先週末、パウエル議長はバーナンキ元議長との討論会に臨み、10会合連続で引き上げた政策金利に関して、「追加引き締めが適切か、何の決定も下していない」と述べています。また、「結果的に政策金利をそれほど上げる必要はないかもしれない」と述べながらも「インフレ抑制に失敗すれば(人々の感じる)痛みが長引くだけでなく、最終的に物価の安定を取り戻すための社会コストがより増えることになる」とも話しています。そして、「これまでのところ、インフレ抑制に時間がかかるというFOMCの見方を支持している」と結んでいました。(日経新聞)19日にはFOMCメンバーであるミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も発言を行っており、同総裁は、過去の利上げによる影響とインフレ見通しを見極める時間の余裕が生じているとして「ここからはもう少し速度を落としてもいいだろうという考えを排除しない」と述べ、6月会合では政策金利の据え置きを支持する可能性を示唆していました。

 6月のFOMC会合は13-14日に開催されます。上述のように、イエレン財務長官は「6月15日の前には」と述べているように、ちょうど会合開催日とは重なるタイミングになります。それまでに「合意」がなされなければ、利上げが見送られる可能性がかなり高くなると予想しますが、今後のデータにもよると思いますが、筆者は政策金利据え置きに傾いています。

 本日のドル円は137円~138円80銭程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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