【為替本日の注目点】WTI原油価格大幅下落

為替

サーチナ

2023/11/8 10:03

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は続伸。米長期金利が低下した中でも、150円68銭までドル高が進む。ユーロドルは反落。1.07を割り込み、1.06台半ばまで下落。ドイツ鉱工業生産の結果が重荷に。株式市場は3指数が揃って続伸。S&P500は12ポイント上げ、これで7日続伸。債券は反発。長期金利は4.64%台へと低下。金は続落。原油は前日比3ドル45セント下げ、77ドル台に。中国の貿易統計が景気の弱さを示したことが材料に。

マーケット情報

9月貿易収支 → -61.5b

9月消費者信用残高 → 9.057b

ドル/円 150.33 ~ 150.68

ユーロ/ドル 1.0665 ~ 1.0704

ユーロ/円 160.53 ~ 160.96

NYダウ +56.74 → 34,152.60ドル

GOLD -15.10 → 1,973.50ドル

WTI ―3.45 → 77.37ドル

米10年国債 ―0.077 → 4.566%

本日の注目イベント

日 9月景気先行指数(CI)(速報値)

日 9月景気一致指数(CI)(速報値)

独 独10月消費者物価指数(改定値)

欧 ユーロ圏9月小売売上高

英 ベイリー・BOE総裁講演

米 クック・FRB理事講演(ダブリン)

米 パウエル・FRB議長、FRB関連会合で開会の辞

米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、FRB関連会合で基調講演

米 中国の何立峰副首相、訪米(12日まで)

加 カナダ9月住宅建設許可件数

 ドル円は米長期金利が低下する中でも続伸し、NYでは150円68銭まで買われました。先週末の米雇用統計発表で149円台前半まで売られましたが、再び上昇に転じてきました。飽くまでも個人的な印象ですが、市場は政府日銀の市場介入が確認されるまでは「ドル買い」を続ける意向のようにも思えます。言い換えれば、「市場介入を早くやってくれ」といった「催促相場」のような気もします。このままドルのジリ高が続けば、昨年10月に介入のあった151円95銭と、先月ドル円が急落する前の水準である151円74銭が意識され、151円台後半で介入があるのかどうかが焦点になります。もしこのレベルでも介入がないようだと、153円程度を目指す展開も予想されそうです。

 今年のFOMCもあと1回を残すのみとなりました。株高、債券高、金利低下は12月会合でも利上げが見送られる可能性を先取りしている動きとも取れます。そんな中、FOMCメンバーの2人が講演で「インフレ率をFRBの目標である2%に下げることが最優先である」ことを強調しています。シカゴ連銀のグールズビー総裁はCNBCとのインタビューで、「インフレ率を下げなければならない。それが最優先だ。われわれが注視しているのはまさにそれだと、強く断言する」と述べ、「次回FOMCまでにまだ数週間あり、まだ多くの情報がそれまでに出て来る。金利がどうなるのか、あらかじめコミットするのは好ましくない。自身はこれまでの利上げによる累積効果に経済がどのように反応しているのか、統計から犬のように嗅ぎ取ろうとする『データドッグ派』の一員だ」と強調しています。またボウマンFRB理事もイベントで、「インフレ率を適切なタイミングでわれわれが目指す2%に低下させるには、さらなる利上げが必要になるとなおも予想する」と語っています。さらに、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁もブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューで、「金融当局はまだインフレとの闘いに勝利していない。妥当な時間をかけてインフレ率を2%まで下げなければならない」と述べ、その上で、「そこに到達するためにどれくらいが必要なのかは、最終的には経済が教えてくれるだろう。私にはわからない」と話しています。(ブルームバーグ)3名ともやや「タカ派」とも取れる発言でしたが、3名はいずれも今年のFOMCでの投票権を持っています。

 オーストラリア準備銀行(RBA)は7日午後、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を0.25ポイント引き上げ4.35%にすることを決めました。5会合ぶりの利上げになりますが、事前予想通りの利上げでした。豪ドル円は利上げ発表後97円60銭前後まで買われましたが、既に相当買われていたこともあり、その後は97円前後まで押し戻されました。発表後に97円60銭辺りまで上昇しましたが、この水準は極めて重要で、今年6月19日に記録した高値近辺でもあり注意を要するところで,一旦売りも出易い水準でした。RBAのブロック総裁は決定会合後の声明で、「適切な期間内にインフレ率の目標に確実に回帰させるため金融政策のさらなる引き締めが必要かどうかは、データやリスクを巡る評価に左右される」と説明していました。

 米財務省は半期に一度の為替報告書で、中国を含む6カ国・地域が為替の慣行に関する「監視リスト」の対象になっていると明らかにしました。ただ中国に対する「為替操作国」の認定は見送られ、同省は「中国が為替介入について公表せず、為替相場メカニズムの重要な特徴を巡り広範に透明性を欠いていることで同国は例外的となっている」と指摘しています。要は、データがないため判断できないということのようです。「監視リスト」に指定されたのは中国の他には、ドイツとマレーシア、シンガポール、台湾、ベトナムで、ドイツ以外はアジアの国々です。今後、日本の通貨当局が円安阻止を目的に介入を繰り返すようだと、水準にもよりますが、「為替操作国」に認定されるリスクはあります。

 イスラエルのネタニヤフ首相は戦争勃発から1カ月が経過した7日ABCニュースで、「パレスチナ自治区ガザの治安維持を無期限で行う可能性もある」と述べ、欧米の人道的な要請があるにもかかわらず、攻撃を止める意志のないことを表明しています。一方で、穏健派とされる同国のオルメルト元首相は、ハマスを無力化したのち、「ガザの管理を欧米主体の国際部隊に任せるべきだ」と述べ、イスラエルが「2国家共存」を「改めて表明することが必要だ」と語っています。(日経新聞)ガザ地区の死者はついに1万人を超え、さらに行方不明者も2000人以上いると見られています。

 本日のドル円は149円50銭~151円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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