【為替本日の注目点】ドル円は再び151円台に

為替

サーチナ

2023/11/9 10:17

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円はじり高が続きNYでは151円台に載せる。FOMCメンバーによるタカ派的な発言が相次ぎ、円売りが優勢に。ドル円は介入警戒感があるなか、151円05銭まで上昇。ユーロドルはほぼ前日と同水準で推移。対円ではさらに上昇し、161円73銭前後を記録。2008年8月以来となるユーロ高を示現。株式市場はまちまちながら、ナスダックは10ポイントと小幅に上昇。これで8日続伸。債券は反発。長期金利は4.49%台へと低下。金は続落。原油も3日続落し一時は75ドル台を割り込む。在庫が予想以上に増加していたことや、世界景気の鈍化による需要低減予測が売りにつながる。

マーケット情報

ドル/円 150.73 ~ 151.05

ユーロ/ドル 1.0660 ~ 1.0716

ユーロ/円 160.89 ~ 161.73

NYダウ -40.33 → 34,112.27ドル

GOLD -15.70 →  1,957.80ドル

WTI -2.04  → 75.33ドル

米10年国債 -0.074 → 4.492%

本日の注目イベント

日 9月国際収支・貿易収支

日 10月景気ウオッチャー調査

日 日銀金融政策決定会合における主な意見(10月30、31日分)

中 中国10月消費者物価指数

中 中国10月生産者物価指数

欧 ECB経済報告

欧 ラガルド・ECB総裁講演

米 新規失業保険申請件数

米 パウエル・FRB議長、パネル討論に参加

米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、バーキン・リッチモンド連銀総裁座談会に参加

米 イエレン財務長官と何立峰中国副首相、会談(9、10日、SFにて)

 前日と同様に米長期金利が低下するなか、ドル円は再び151円台まで上昇しました。連日FOMCメンバーによるタカ派寄りな発言が相次ぎ、金融当局者はインフレに対する市場の楽観的な見方に警鐘を鳴らす意味も含めて、改めて慎重な発言をしているようです。ユーロ円は161円73銭まで買われ、実に2008年8月以来約15年ぶりの高水準です。ユーロ圏ではインフレが収まり、利上げ局面は終わったとの見方が出るなかでも、ユーロ円は買われています。

 ジェファーソンFRB副議長は、「経済見通しに強い不確実性がある場合であっても、インフレ期待が上昇し始めれば金融当局として強力に対応する必要がある」と述べています。また、クックFRB理事は金融政策には言及しなかったものの地政学的リスクに触れ、「中東の紛争は世界的な人道・移民問題の悪化に加え、エネルギー市場や金融市場にさらなるリスクを生じさせる可能性がある」とし、「争いがエスカレートすれば経済活動や貿易の重しとなり、資金調達・生産コストを押し上げて、サプライチェーンが抱える問題の悪化やインフレ圧力の高まりにつながりかねない」と語っています。NY連銀のウィリアムズ総裁も、FRBの調査統計部門の創設100周年を祝う会議の基調講演で、金融政策に関する発言はありませんでしたが、FRBが2021年3月にそれまでのゼロ金利政策を終え利上げを開始したことに言及しました。FRBが緩和政策から引き締め政策に転じたタイミングを巡っては、多くの専門家が「遅すぎた」と批判し、それがその後インフレ率が9%台まで加速した原因だとの声に対して、「最近、FRBなどの中銀で活用されているマクロ経済モデルは、2021年に始まったインフレの急速かつ持続的な上昇を見逃したとして批判されている。しかし、モデルは当局者に予測や政策決定を強いるものではない。それが目的ではない。モデルの欠点は、われわれの考えの原因というよりも、集団的理解の不足の反映だ。そして既存のモデルを修正し、新しいモデルを構築する中で経験から学ぶのが研究者の仕事だ」(ブルームバーグ)と述べ、利上げ開始が出遅れたことをかばうような発言を行っていました。

 一方植田日銀総裁は8日、衆議院財務金融委員会での答弁で初めて、上方修正を繰り返している「日銀の消費者物価見通しに誤りがあった」と認める発言を行いました。植田総裁は足元の物価高は輸入物価の転嫁による「第1の力」と、賃金と物価の好循環の「第2の力」の二つがあると説明し、前者による物価上昇率は下がるとの見通しを示したが、「上方修正を続けてきた」とし、「見通しの誤りがあったということは認めざるを得ない」と述べました。ただ、続けて「後者がまだ弱いという判断はあまり大きく外していない。その部分に基づいて金融政策運営を行ってきたことについては、大きな誤りはなかった」と発言していました。

 ドル円は再び151円台まで上昇し、昨日のコメントでも書いたように、介入を誘うような動きです。ここから1円程度上のレンジが重要な水準であることは当然ですが、果たして介入らしき動きがあるのか、注目されます。この水準からは「なかなか買えない」一方、ショートを振るにも勇気が要り、「十分引き付ける」必要があります。本日はパウエル議長の発言も予想されますが、レンジは150円~151円80銭程度といったところでしょうか。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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