【為替本日の注目点】金、荒っぽい動き。最高値から反落

為替

サーチナ

2023/12/5 10:14

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 東京時間朝方には146円23銭まで売られたドル円はNYでは反発。米金利が上昇したこともあり147円44銭近辺までドルが買われる。ユーロドルは小幅に続落。1.0804まで下落し、引き続きユーロ円などの売りが重荷になっている模様。株式市場は3指数が揃って反落。米金利の上昇にナスダックは119ポイントの下落。債券は反落。長期金利は4.25%台に上昇。金はアジア市場で2152ドル台まで買われ、最高値を更新したがNYでは金利上昇に大幅反落。原油は3日続落し73ドル台に。

マーケット情報

10月製造業受注 → -3.6%

ドル/円 146.48 ~ 147.44

ユーロ/ドル 1.0804 ~ 1.0875

ユーロ/円 158.71 ~ 159.59

NYダウ -41.06 → 36,204.44ドル

GOLD -47.50 → 2,042.20ドル

WTI -1.03 → 73.04ドル

米10年国債 +0.057 → 4.253%

本日の注目イベント

豪 豪7-9月期経常収支

豪 RBA、キャッシュターゲット

日 11月東京都区部消費者物価指数

中 11月財新サービスPMI

中 11月財新コンポジットPMI

独 独11月サービス業PMI(改定値)

欧 ユーロ圏11月総合PMI(改定値)

欧 ユーロ圏11月サービスPMI(改定値)

欧 ユーロ圏10月卸売物価指数

米 11月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)

米 11月S&Pグローバル総合PMI(改定値)

米 10月雇用動態調査(JOLTS)求人件数

米 11月ISM非製造業景況指数

 米長期金利の低下に伴い昨日の東京時間朝方には146円23銭まで売られたドル円でしたが、その後は買い戻され、NYでは147円44銭近辺まで反発しました。米長期金利が上昇したことで、前日までの動きが逆回転して、ドルが買われ、債券と株が売られ、連日上昇していた金も大きく売られました。特に金は、先週末のNYで過去最高値を記録し、その流れから昨日のアジア市場でも大きく買われ、一時は2142ドル台と、NYの最高値を大きく上回りましたが、NYでは金利高が嫌気され、2042ドル台で引けました。アジア市場で記録した過去最高値からは実に100ドルを超える下げとなったわけで、金価格の動きとすれば非常に大きく、荒っぽい動きだったと言えます。

 米金利を巡っては昨日のウィークリー・コメント(今週の予想レンジ)でも触れましたが、市場には「早ければ3月にも利下げ」といった観測が一部に出ましたが、昨日は大手金融機関のストラテジストから「米利下げ期待は行き過ぎ」との声も上がり、これが上記逆回転の動きにつながったようです。米ゴールドマンのストラテジストは「米金融政策当局が来年どの程度利下げするかについて、金融市場は楽観的になり過ぎている」と指摘し、同行では来年中に1回の利下げを見込んでおり、市場は利下げに傾き過ぎているとしています。市場は常に先走り、「順張り」で考える傾向がありますが、この先FRBの目標である2%の物価上昇率に対する「ラストワンマイル」は決して容易ではないようです。仮に、今週末の雇用統計で予想を上回る数字が出ただけで、市場のセンチメントは一変するリスクがあります。FRBは現在の高い政策金利を当面維持し、その後の影響を見守りながら、2%物価目標の達成に確信が持てた段階で初めて「利下げ」を口にするのではないかと、筆者は予想しています。来年春先までにその確信を得る可能性はそれほど高くはないと思われます。インフレに対する初動が遅れたと批判されたパウエルFRBにとっては、二度と政策の失敗は許されないはずです。

 格付け会社フィッチ・レーティングスは、「日本銀行が政策正常化によって被る損失からの日本の財政赤字への影響は、比較的穏やかな打撃であっても、ソブリン格付けには大きな影響を与える可能性がある。利払い負担が増える見通しの中ではなおさらだ」と発表しています。フィッチの基本シナリオは、日銀が超低金利政策を今後数年間維持することだが、リスクのバランスはインフレ率上昇と引き締め加速に傾いていると見られる(ブルームバーグ)とのことです。先週日銀は2023年9月末時点で保有する国債の含み損は10兆5000億円だと発表していました。イールドカーブコントロール(YCC)政策を推し進めてきたことで、市場から大量の国債を購入してきましたが、その後YCCの修正もあり金利が上昇したことにより含み損は過去最大となっています。

 ラガルドECB総裁は2日、コロナ検査で陽性だったようです。本日のドル円は146円30銭~147円80銭程度を予想します。10月雇用動態調査(JOLTS)求人件数など、比較的重要指標の発表もあります。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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