<新興国eye>カンボジア国民地雷啓発デー2023―地雷被害ゼロを目指して

新興国

2024/3/8 8:48

 カンボジア地雷対策庁(CMAA)の発表によりますと、2023年の地雷・不発弾による被害者数は、死者4名、負傷28名(うち手足切断10名)の合計32名と、2022年の合計41名から減少しました。1996年には、死者911名、負傷者3409名(うち手足切断443名)に達していましたが、多くの関係者の27年間の努力により、死者・負傷者数を100分の一以下にまで減少させたことは高く評価されるものです。

 1979年から2023年までの累計で、死者は1万9822名、負傷4万5215名(うち手足切断9088名)となっています。これまでに約118万個の対人地雷、約3万個の対戦車地雷、約311万個の不発弾等を処理し、3024平方キロメートルの土地の処理を完了し、1198万人に裨益しているとしています。これまでにプノンペン都を含む14州が地雷ゼロ州と宣言されました。CMAAは、国家地雷対策戦略(2018年~2025年)に沿って、引き続き地雷・不発弾対策及び被害者への支援に取り組んでいくとしています。

 なお、農村部での地雷・不発弾の取り扱いに関する啓蒙活動は、引き続き重要なものと見られます。CMAAでは、今年も2月24日に「第25回国民地雷啓発デー」式典を開催し、啓蒙活動に努めています。式典には、フン・マネット首相も参加しました。また、地雷を発見した際にスマホで使用する「CMAC Helps!」というアプリも稼働中です。

 日本政府も長年に渡り、カンボジアの地雷処理に協力してきています。今年度も、カンボジアで地雷処理に携わっている日本地雷処理を支援する会(JMAS)の活動のための無償資金協力(69万6397ドル)に、12月19日に署名しています。また、カンボジア地雷対策センター向けの無償資金協力(51万5060ドル)にも2月15日に署名しました。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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