【為替本日の注目点】5月のPPIは予想外のマイナス

為替

サーチナ

2024/6/14 10:44

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 前日155円73銭まで売られたドル円は157円台を回復。この日は米5月のPPIや失業保険申請件数が利下げにプラスに働き、156円台半ばまで売られたが再び157円台に反発。ユーロドルは1.08台まで上昇したがその後反落。株式市場ではハイテク株の上昇が続き、ナスダックとS&P500は4日連続で最高値を更新。一方ダウは3日続落。債券は続伸。長期金利は4.24%台に低下。金は大幅に反落。原油は4日続伸。

5月生産者物価指数 → -0.2%

新規失業保険申請件数 → 24.2万

マーケット情報

ドル/円 156.59 ~ 157.27

ユーロ/ドル 1.0732 ~ 1.0815

ユーロ/円 168.27 ~ 169.85

NYダウ -66.11 → 38,647.10ドル

GOLD -36.80 → 2,318.00ドル

WTI +0.12 → 78.62ドル

米10年国債 -0.072 → 4.244%

本日の注目イベント

日 日銀金融政策決定会合

日 植田日銀総裁記者会見

日 4月鉱工業生産(確定値)

欧 ユーロ圏4月貿易収支

欧 ラガルド・ECB総裁講演

米 5月輸入物価指数

米 5月輸出物価指数

米 6月ミシガン大学消費者マインド(速報値)

米 グールズビー・シカゴ連銀総裁、座談会に参加

米 クック・FRB理事講演

 ドル円の底堅さというか、円の弱さには目を見張るものがあります。前日の5月の消費者物価指数(CPI)の鈍化に加え、この日発表された5月の生産者物価指数(PPI)も予想を下回り、さらに週間失業保険申請件数も予想より増加していました。米長期金利は5月22日以来となる4.2%台まで低下。ドル売り材料が揃ったわりにはドルの下値は限定的でした。発表を受けてドル円は156円59銭まで売られましたが、その後再び157円台に戻してNYでの取引を終えています。市場のセンチメントは短期的であっても、なかなか変わりません。

 5月のPPIは市場予想の「+0.1%」から大きく乖離し「-0.1%」と、7カ月ぶりの低水準でした。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPPIは前月比変わらずこちらも市場予想の「+0.3%」を大きく下回っていました。ブルームバーグは、「昨日のFOMCを信じていない向きには勇気づけられる数字だろう。FOMCは今年の利下げは一度だけとの見方を示した。予想外の低下は、ディスインフレがより持続可能なペースで一段と深まり始めたとの期待を裏付ける」といった、エコノミストのコメントを紹介していました。前日のFOMCでのメンバーの予想では、年内は1回の利下げにとどまるとの見通しでしたが、2回の利下げを予想したメンバーは8人と、最多でした。「利下げ回数ゼロ」を予想したメンバーが4人いたことから、中心値としては「1回」になりましたが、「1回」を予想した7人よりも多かったことは記憶しておきたいと思います。また、失業保険申請件数も「24.2万件」と、先週よりも1万3000件増加していました。この時期は祝日や学校の年度終了で申請件数が大きく変動する傾向があるようですが、4週移動平均でも「22.7万件」となっており、昨年9月以来の高水準になっているも事実です。この点にも個人的には注目しています。

 市場はFRBの利下げ回数に対して悲観的過ぎるのではないかと思う節もあります。労働市場など、米景気の底堅さを示唆するデータがある一方、景気の鈍化を示唆するデータもそれらを上回るほどあります。コンファレンスボードが発表する消費者マインドでは、5月は「102」(1月は「110.9」)で、5月の景気先行総合指数では「-0.6」(1月は「-0.4」)、さらにミシガン大学消費者マインドでも、5月は「69.1」(1月は「79」)といった具合です。また米長期金利の低下も加速しており、NY株式市場ではナスダックとS&P500が、今週に入ってからは連日で最高値を更新していることも、利下げを織り込む動きと見ることができそうです。今後さらにインフレの鈍化が示される数字が出れば、一気に円の巻き戻しが起こる可能性には注意したいと思います。

 トランプ氏は13日、経営トップとの会合で自身が大統領に返り咲いたら、法人税率を20%に引き下げると約束しました。現行の法人税率は21%でわずか「1%」の引き下げですが、高収益を上げている大企業にとっては決して少ない金額ではありません。この日の会合にはJPモルガンのダイモンCEOやアップルのクックCEOも参加しています。因みに、アップルの純利益は15-20兆円と見込まれており、仮に15兆円としても1500億円にもなります。JPモルガンでも7-8兆円程の利益を稼ぐと見られます。

 本日は日銀決定会合の結果が発表されます。例によって会合終了次第結果が公表されますが、注目は国債買い入れの減額を決めるかどうかです。また、植田総裁の会見でも、介入にもかかわらず「止まらない円安」について言及があるのかどうかです。これまで「為替を見ながら金融政策を決めているわけではない」といった姿勢でしたが、「基調的な物価上昇に影響を与えるようなら、金融政策の変更も有り得る」とのスタンスに変わりつつあることから、記者会見ではこれについての質問も出そうです。

 本日のドル円は156円~157円80銭程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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