【為替本日の注目点】ユーロ円174円台半ばに急騰

為替

サーチナ

2024/7/4 11:07

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は欧州市場で161円95銭まで買われたが、NYの朝方には経済指標が軒並み景気減速を示唆するものだったことで160円77銭まで急落。ただ、その後再び161円台後半まで反発。ユーロドルは続伸し、1.0817まで上昇。ユーロ円の買いも活発となり、一時174円52銭前後に急騰。景気減速を示唆する指標が相次いだことで株式市場ではナスダックとS&P500が揃って最高値を更新。一方ダウは23ドル安。債券は続伸。市場予想を下回る経済指標が示され、9月利下げの可能性がより高まったことで債券は買われる。長期金利は4.35%台に低下。金は大幅に反発。原油も買われ83ドル台に。

6月ADP雇用者数 → 15.0万人

新規失業保険申請件数 → 23.8万件

5月製造業受注 → -0.5%

5月貿易収支 → -75.1b

6月ISM非製造業景況指数 → 48.8

6月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値) → 55.3

6月S&Pグローバル総合PMI(改定値) → 54.8

マーケット情報

ドル/円 160.77 ~ 161.94

ユーロ/ドル 1.0755 ~ 1.0817

ユーロ/円 173.77 ~ 174.52

NYダウ -23.85 → 39,308.00ドル

GOLD +36.00 → 2,369.40ドル

WTI +1.07 → 83.88ドル

米10年国債 -0.073 → 4.359%

本日の注目イベント

豪 豪5月貿易収支

独 独5月製造業新規受注

欧 ECB議事要旨(6月開催分)

英 総選挙

米 株式、債券市場休場(独立記念日)

 昨日のドル円の動きにはやや驚きを隠せません。NY市場では、発表された経済指標はほぼ景気の減速を示唆するもので、FRBの利下げを後押しするものでした。それまでの欧州市場でドル円は小刻みに上昇し、161円96銭近辺までドル高が進んでいた中での、米経済指標の下振れに、ドル円は急落。160円77銭近辺まで下げ、1円以上も売られました。9月のFOMC会合での利下げの確率がより高まったことから当然の動きでしたが、問題はそこからの反発でした。米金利が低下する中、161円75銭まで反発する動きはなかなか説明できません。

 昨日の日本の債券市場では10年債が売られ、長期金利は1.10%台まで上昇しました。足元で円安が進んでいることから、今月30-31日に開催される日銀金融政策決定会合では、国債購入の大幅減額と利上げが同時に行われるのではないかといった観測も出始めています。そうでもしないと、円安の流れは止められないといった危機感のようなものもあり、植田総裁もその可能性を排除していません。FRBの利下げと日銀の利上げが見込まれるとすれば、一旦円がある程度買い戻されてもおかしくはない状況のようにも思えます。もっとも、昨日はドル円で円安が進んだこともありましたが、ユーロ円などクロス円でも大きく円が売られたことも、回りまわってドル円を支えたようです。ユーロ円は史上最高値となる174円52銭前後まで上昇し、豪ドル円も108円50銭辺りまで買われ、こちらも2008年9月の「リーマンショック」前の高値を抜き、30年以上もチャート遡らなければ確認できない状況です。欧州、豪州、米国からのワインの価格が上昇することは必至でしょう。

 それにしても昨日の米経済指標は揃って弱かったです。新規失業保険申請件数は、先週から4000件増えて「23.8万件」でした。より傾向が示される4週移動平均でも「23.9万件」に増加しています。また失業保険の継続受給者は9週連続で増え、2018年以来の長期増加局面となっており、再就職探しが難しさを増している状況かと思われます。民間の雇用統計である6月のADP雇用者数は「15万人」でした。こちらも増加ペースが一段と減速しており、ADPのチーフ・エコノミストは、「雇用の伸びは堅調だが、広範にわたっていない」と述べ、好調な労働市場にも、景気抑制的政策による減速の足音がヒタヒタと迫って来た印象です。

 さらに6月のISM非製造業景況指数は、4年ぶりの低水準でした。指数は「48.8」と、活動の拡大と縮小の境目である「50」を大きく割り込んでいました。結果は、前月の「53.8」、今月の市場予想の「52.7」からも大きく下振れしています。また5月の製造業受注も、前月比で「0.5%減少」していました。これだけ景気減速を示唆するデータが出たにもかかわらず、一旦売られたドル円が再び値を戻す動きには驚きです。

 ニューヨーク・タイムズ(NYT)は再選を目指すバイデン氏に対して、「近日中に世論を動かせられなければ断念せざるを得ないかもしれないと、バイデン氏が側近に漏らした」と報じました。ホワイトハウスとバイデン陣営は直ちにこの報道の内容を否定しましたが、このままでは、大統領選でバイデン氏がトランプ氏に負けるだけではなく、議会選挙でも不利になるとの見方が民主党内で広まっているようです。数十人の同党下院議員がバイデン氏に大統領候補からの撤退を求める書簡への署名を検討しているとも伝えられています。バイデン大統領はハリス副大統領とともに臨んだ電話会議では、「この選挙戦を最後まで闘い抜く。民主党が団結すれば、われわれは常に勝利する」と話しています。バイデン氏にとって、先のテレビ討論会でのパフォーマンスが大きな分岐点になったようです。

 今朝のドル円はほぼ前日の水準で推移しています。上でも述べたように、発表されるデータは強弱入り混ざったものですが、徐々に下振れする割合が増える可能性もあります。ここからは介入警戒感だけではなく、発表されるデータにも、より注意する必要がありそうです。また今日はNY市場が休場で、参加者が少ないことにも注意が必要です。

 本日のドル円は160円50銭~162円程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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