Jフロンティ、オンライン診療アプリ「SOKUYAKU」収益フェーズへ

株式

2024/7/4 11:56

 ジェイフロンティア(=Jフロンティ)<2934.T>は自宅でオンライン診療を受けられるアプリ「SOKUYAKU(ソクヤク)」の事業について、今5月期の黒字化が視野に入る。全国での薬の当日配送体制も整い、収益フェーズに移行する情勢だ。

<サービス提供は「大義」、全国当日配送も開始>

 家内が昨晩から発熱に苦しみ、病院も時間外で診察を受けられない――。

 ある月曜日の未明に、実際にSOKUYAKUに届いたメッセージだ。送信者と患者はともに80歳代の高齢者。苦しい状況だが、朝一番でカスタマーサービスから連絡が入り、すぐにビデオチャットでの医師らの診療と服薬指導を案内された。その後自宅へ薬も届けられ事なきを得たという。

 病院探しから薬の受け取りまでをオンラインで完結できるSOKUYAKUは、2021年のサービス開始から3年で会員数が200万人を突破した(24年2月末205万人)。Jフロンティの中村篤弘社長はそうした利便性の提供を、「大義を持って」推進してきたと話す。

 高齢化や過疎化を背景に“病院難民“も社会問題化する中で、医療のオンラインサービスは公益的ともいえる存在感を放つ。SOKUYAKUの直近のリピート率はおよそ8割に達し、1ユーザーが年間5回近く利用しているもようだ。

 今月からは、離島など一部地域を除く47都道府県での処方薬の当日配送体制も始動した。1000店超のセブン-イレブンの宅配ロッカーでも受け取れるようになる。

<値上げ効果で今期の黒字視野に>

 SOKUYAKUは患者が払う手数料を収益源としており、病院や調剤薬局にはプラットフォームを無償で提供している。診療報酬におけるオンライン診療への加算や、処方せん枚数の底上げにつながるメリットも支持され、病院・薬局提携数は計1万5000を上回る。足元でもその数は増加を続け、認知度は高まっている。

 JフロンティはSOKUYAKUの収益化へ向けて6月に値上げを実施。また、活用頻度が高く、サービスを通じて一定の収益を得ているクリニックへの課金も検討している。新たに導入した、企業の社員がSOKUYAKUを福利厚生の1つとして利用できるサービスの引き合いも強い。

 12日に発表する前期決算は、連結営業損益について1億300万円の黒字(前々期は18億1600万円の赤字)を計画。通販事業で生じた漢方薬の在庫不足の影響もあり、第3四半期累計(昨年6月~今年2月)の営業損益が3億3100万円の赤字にとどまっていただけに、一定の未達リスクは残る。

 ただ、今期は先行投資を続けてきたSOKUYAKUの黒字化が期待され、業況は新局面を迎える公算だ。中期経営計画では、今期の営業利益の目標を25億円としていた。

提供:ウエルスアドバイザー社

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