<無料公開>富士フイルム「アビガン」、新型コロナに有効性確認――中国で後発薬量産へ、PTS株価急騰

 富士フイルムホールディングス(4901)が新型コロナウイルス打倒の突破口を開くのか――。同社グループの抗インフルエンザ薬「アビガン」について、中国科学技術省が新型コロナへの有効性が確認されたと17日に発表した。これを受け、富士フイルムの株価がPTS(私設市場)取引でストップ高水準の5238円(16日終値比15.4%高)まで買われている。

◎ウイルスの遺伝子複製阻害

 アビガンは富士フイルムの子会社の富山化学が開発し、2014年に日本で承認された。「RNAポリメラーゼ」と呼ばれる、ウイルスの遺伝子複製を阻害し、体内で増殖するのを防ぐ作用を持つ。新型コロナをめぐっては、日本政府もエボラ出血熱治療薬「レムデシビル」などとともに、アビガンの肺炎患者の治療に試験導入している。

 中国では湖北省などで200人を対象に臨床試験が行われ、アビガンを投与した患者の肺炎症状が短期間で改善する効果がみられたという。富士フイルムと16年にアビガンの有効成分「ファビピラビル」に関する特許ライセンス契約を結んだ中国の大手製薬会社「浙江海正薬業」が、後発品を量産する見通しだ。契約時の富士フイルムの発表によれば、同社は浙江海正薬業が中国でファビピラビルを販売する際にロイヤルティーを受け取れる。

 富士フイルムの株価は17日のADR(米国預託証券)でも急騰している。日本でアビガンが新型コロナ患者に投与されることを受け、2月25日には上場来高値の5890円を付けていた。アビガンは日本政府が200万人分の備蓄を持つ。新型コロナは米国や欧州でも感染が爆発的に拡大しており、富士フイルムの存在感が世界的に高まる可能性もある。

◎PCR検査関連株に思惑も

 アビガン投与へ向けたPCR検査の活発化を想定すると、関連銘柄としてはタカラバイオ(=タカラBIO、4974)、キョーリン製薬ホールディングス(4569)、クラボウ(3106)、日水製薬(4550)、医学生物学研究所(4557・JQ)、プレシジョン・システム・サイエンス(=PSS、7707・JQ)などが浮上する。

(イメージ写真提供:123RF)

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ