<無料公開>年度末の「お化粧買い」注目――日銀ETFの損益分岐点を意識

2020/3/31 8:38

 きょう3月31日は年度末に当たり、市場ではいわゆる「ドレッシング買い(お化粧買い)」の思惑が高まりやすい。特に直近で相場が急変した今回は、日銀の保有する株価指数連動型ETF(上場投資信託)の損益分岐点や、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用実績が意識される。

 機関投資家にとって、運用成績の区切りに当たる「末日」は重要な意味を持つ。このため、月末や四半期末、年度末には株価を持ち上げ、少しでも運用成績を良く見せようとするドレッシング買いが入りやすいとされる。

 一方、金融緩和の一環でETFを購入している日銀は、その時価が簿価を下回る損益分岐点が日経平均株価で1万9500円程度に相当することを、黒田東彦総裁が3月10日の参院財政金融委員会で明らかにしている。日銀は、同月16日に開いた臨時の金融政策決定会合でETFの年間購入枠を従来比2倍の12兆円に引き上げた。以後、日経平均が1万9500円を下回る水準で、TOPIX(東証株価指数)連動型も含めたETFを計9000億円超買い入れている。

 日銀はETFの含み損に引当金を積む必要があり、損益分岐点を上回った状態で年度をまたぎたいという見方がマーケットで根強い。買いコストはやや下がっている可能性も指摘され、「日経平均1万9000円の維持」を目安とする向きもあるようだ。

 なお、過去の年度末の営業日の日経平均の成績をみると2018、19年こそ上昇しているものの、必ずしも年度末が強いとは言えない。00年以降では9勝11敗と負け越している。

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