7年8カ月のアベノミクス相場

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2020/8/24 17:30

安倍首相、連続在任最長に

 安倍晋三首相の在任期間が24日、2012年12月の第2次政権発足以降で連続2799日に達し、佐藤栄作元首相(在任期間1964~72年)を抜いて歴代最長となった。7年8カ月にわたる長期政権では「アベノミクス」と銘打った政策の下、日経平均株価が一時2.4倍に上昇して29年ぶりの高値(2万4448円)を付けた。一方で、最重要課題に掲げたデフレ脱却は道半ばの状況にある。新型コロナウイルスの感染拡大で危機に瀕する日本。経済の立て直しへ向け、大きな正念場を迎えている。

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安倍首相が自民党総裁に返り咲いた12年9月は09年からの旧民主党政権末期に当たり、東日本大震災の傷跡が生々しい経済を映した日経平均は8000円台の低水準に沈んでいた。為替も1ドル=70円台と輸出企業の事業環境は厳しく、1万円台こそ回復した同年12月の政権交代時もまだ、マーケットは薄闇に包まれていた。

 13年にアベノミクスが実質的にスタートすると、相場に勢いが増す。金融緩和論者の黒田東彦氏を日銀総裁に起用し、「量的・質的金融緩和」を導入。外国人投資家の見る目も変わり、日本株は本格的な上昇局面に入った。

 それからは調整を挟みつつ下値を切り上げ、15年には2万円を突破した。その間に行われた13年の参院選と14年の衆院選に圧勝した安倍政権。企業業績も上向き、インバウンド(訪日外国人観光客)の大幅増や東京五輪誘致といった成果も着実に上げ、円熟期を迎えた。

差し迫る「賞味期限」、政局注視

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 しかし、16年ごろから風向きが変わる。14年の消費増税をきっかけに内需がじわじわと勢いを失うと、2%の物価目標が遠ざかった。同年11月の選挙を制して翌17年に就任したトランプ米大統領の言動に投資家がくぎ付けとなる傍らで、市場における存在感を弱めた安倍首相は、続く「森友・加計問題」で窮地に立たされる。

 アベノミクスの第3の矢(経済政策)が不発に終わる中、米国頼みの様相が鮮明な日本株相場。政権周辺の不正や疑惑は絶えず、いつしかアベノミクスは死語になった。国政選挙の不敗神話こそ継続しているものの、新型コロナをめぐっても指導力を発揮できないなど安倍政権の賞味期限が近づいている印象が否めない。足元では自身の健康問題も取りざたされ、株式市場も政局の先行きを注視している。

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(写真:123RF)

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