NexTon、下期は収益増加ペース加速へ

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2021/11/18 8:30

 音楽著作権の管理サービスを展開するNexTone(7094・M)の業績が好調だ。今3月期上期は連結営業利益が3.0億円(前年同期比37%増)に拡大。コロナ禍の逆風の中でも、管理楽曲数を着実に積み上げた。足元では感染者数の急減で「ミュージックシーンが動き始めている」(阿南雅浩代表取締役CEO<最高経営責任者>)といい、下期は収益拡大ペースが加速する公算だ。

新譜の獲得順調、通期計画達成に自信

 同社は楽曲の著作権者などに代わって利用料を徴収し、委託元に分配する著作権管理業務を主力とする。また、音楽配信プラットフォーム向けに音源を供給するデジタルコンテンツディストリビューション(DD)業務、アーティストキャスティングやライブビューイングなどを行うキャスティング事業を手掛ける。

 長引くコロナ禍でアーティストの新譜発売が抑制された影響を受けたものの、管理楽曲や取扱原盤数を伸ばしている。足元の著作権管理楽曲数(約25万曲)のうち、今期上期に獲得した新譜の楽曲数は約2.9万曲。ヒット曲や話題曲を押さえ、増加ペースは前期通年での4.9万曲を上回るペースとなっている。

 また、音楽や動画の配信市場の成長に乗り、DD業務が好調に推移。キャスティング事業も最悪期を脱し、感染対策を徹底した上で実施されたイベントやライブの配信案件が収益に貢献している。

 阿南代表取締役CEOは通期の営業利益計画(7.3億円、前期比35%増)の達成に自信を示す。下期の営業利益の見込み(4.3億円、前年同期比34%増)が上期実績に対してウエートが大きいのは、緊急事態宣言中や、東京五輪・パラリンピックの開催時期を避けた新譜の発売スケジュールを加味したため。また、コロナ後の経済再開の動きも追い風だ。

 下期にはGLAYやOfficial髭男dism、SEKAI NO OWARIといった人気アーティストの大型タイトルや、アニメ「呪術廻戦」、ゲームの「ウマ娘 プリティーダービー」など、同社事業に関連があるコンテンツのリリースも控える。

ユーチューブのパートナーに、株価は高値奪回視野

 同社はJASRAC(日本音楽著作権協会)の牙城を切り崩すことで成長を遂げている。顧客のマーケティングに役立つデータの提供でも差別化してきたが、このほど利便性を一段と高めた新システムを投入。楽曲の新規獲得やJASRACからの作品移管に弾みを付けたい考え。従来手薄だった放送権にも力を入れているほか、演奏権の分野にも進出する見通しだ。

 一方、同社はインターネット動画のユーチューブから推奨配信会社パートナーに認定された。ユーチューブにおける楽曲カバー動画をめぐるライセンス契約を拡大しているほか、強固な信頼関係を背景に同分野でのさらなる躍進が見込まれる。

 株価は上期決算を受けて水準を大きく切り上げた。上場来高値(調整後)を更新している。

(写真:123RF)

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