イノベション、DX需要とらえ成長加速――IT購買マッチング快進撃

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2021/11/19 8:30

 IT関連のプラットフォームやマーケティング支援を展開するイノベーション(3970・M)の業績が好調だ。フェーズがコスト削減から売上拡大へと転換し、今3月期は2ケタ増収増益を計画している。

来訪者数急増、オンライン展示会で攻勢

 同社はIT製品・サービスの比較や資料請求ができる企業間(BtoB)購買マッチングプラットフォーム「ITトレンド」を運営。資料請求の獲得に成功するごとに、売り手から成功報酬を得る。優先的に商材を表示する広告課金の仕組みもある。

 今期上期の連結業績は、売上高が19.6億円(前年同期比44.1%増)、営業利益が3.0億円(同63%増)だった。ITトレンドを主力とし、売上のおよそ7割を占めるオンラインメディア事業の売上高は、同21.3%増となった。プロジェクト管理やWeb・クラウド請求書をはじめとするIT商材をめぐり、オンラインでのマッチング需要を同社が継続的にとらえている。

 コロナ禍をきっかけに、ITトレンドの来訪者数は急増した。今期上期の約864万ユーザー(ユニークユーザーベース)は、コロナ前の2020年3月期上期比では2.7倍に膨らんでいる(前年同期比でも6.7%増)。「企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が本格的な拡大局面に入った」(イノベションの富田直人社長)とみられる。

 売り手の営業活動と買い手の情報収集を電子化したITトレンドの躍進に加え、足元で同事業の成長に貢献しつつあるのがオンライン展示会の「ITトレンドEXPO」だ。イノベションのプラットフォーム上で仮想の見本市を開催。ブースの出展から名刺交換、資料請求まであらゆる活動をデジタルで実現し、利便性を向上した。

 昨年11月に初開催したITトレンドEXPOの延べ参加登録者数は4万5000人を突破しており、同社の新たな原動力として育っている。オンライン展示会はコロナ後も定着しつつあり、今後も「開催頻度と領域を拡大していく」(富田社長)。ビジネスリーダーや人気タレントなどの著名人をゲストに招いたオンラインセッションも好評だ。

SaaSや金融領域も

 このほか、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)形式で提供し、企業の法人営業を効率化するマーケティングオートメーションツール「リストファインダー」を中心とするITソリューション事業も、上期の売上高が前年同期比3.7%増と堅調。利益面ではウェビナー配信ツールの機能改善の投資が先行したが、今後はその効果も期待される。

 もう1つの柱に加わった金融プラットフォーム事業は、前期の連結化から早くも黒字化している。独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)の採用も加速し、潜在需要の大きい金融領域でのDXを視野に、投資家と証券会社、IFAをオンラインでつなぐプラットフォームの本格展開を急ぐ構えだ。

 今期通期の連結業績は、売上高37.4億円(前期比21.3%増)、営業利益5.9億円(同14.0%増)を計画している。

(写真:123RF)

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