HCH・富永邦昭社長に聞く=新子会社取得で先行投資、中・長期的な成長力強化
ヒューマンクリエイションホールディングス(=HCH、7361・M)はシステム開発について、コンサルティングから受託開発、保守・運用まで、一気通貫で全工程に対応している。10月1日付でヒューマンベースを100%子会社化するなど事業の強化も推進中。前9月期は大幅増益を達成し、今期も2ケタ増収増益を見込んでいる。同社の現状と今後について富永邦昭社長に聞いた。
――前期は連結売上高50億3500万円(前々期比10.3%増)、営業利益4億7800万円(同57.5%増)で、過去最高の決算を達成しました。
「当社はシステム開発において、現在はコンサルティング・上流工程の強化を中心戦略として推進しており、その通りに前期はコンサルティング・受託分野が拡大しました。契約単価の上昇、エンジニアの高稼働率を維持したことなども利益増に貢献しました。営業利益が従来予想(5億300万円)に届きませんでしたが、これはヒューマンベースを子会社化したことが影響しています。ヒューマンベースを10月1日付で子会社化したことから、前期から今期と2期にわたりM&A(企業の合併・買収)関連費用を計上することになり、それが利益面を圧迫しました。ただ、将来の成長を見据えての新子会社取得で、中・長期的な成長力を強化したといえるでしょう」
――ヒューマンベース子会社化の効果についてはどう考えていますか。
「ヒューマンベースはERP(基幹系情報システム)分野におけるシステムコンサルティングやシステム設計・開発に強みを持ち、子会社化することで当社の一気通貫のシステム開発工程の中でコンサルティング・上流工程の強化につながります。今期以降、ヒューマンベースをグループに取り込むことで、ノウハウ、顧客基盤の活用だけにとどまらず、エンジニアの採用や教育強化など、シナジー(相乗)効果の最大化を図ります。これにより、幅広い業界に対するコンサルティング・上流工程領域の拡大から、利益率の高いシステム開発案件の獲得を目指します」
ストックオプション導入で業績拡大へのモチベーション向上へ
――今期の業績予想と、将来のビジョンについて教えてください。
「今期は売上高56億9700万円(前期比13.2%増)、営業利益5億3000万円(同10.9%増)を見込んでいます。売上高と比較して利益の成長率が鈍いとの見方もありますが、先ほどお話しした通り前期から今期と期をまたいでM&A関連の一過性の費用を計上することが影響します。コンサルティング・上流工程の強化から、各案件の利益率は向上する見通しです。当社は『契約単価』『エンジニアの稼働率』『保有人数』をKPI(重要業績評価指標)として重要視しており、前期もそれぞれ順調な推移が続きました。特に最重要KPIである『契約単価』はコンサルティング・受託開発領域への注力で大きく改善しました。今期以降もこの3つのKPIを重視した事業展開を進めるほか、来期にはM&A関連の費用がなくなることから、より利益の成長が見込めると思っております」
――11月30日にはストックオプションの導入に伴う新株予約権の発行を発表しました。
「ストックオプション導入の目的は、役職員の確保・維持、長期的成長に対するモチベーション向上、優秀な人材の新規採用時におけるインセンティブ付与などです。また、交付には業績面の達成条件があり、一定の成長をしていなければ付与されません。一方、筆頭株主であるリサ・パートナーズから自己株式を取得し、それを新株予約権の行使の際に必要な株式に充当します。これにより、希薄化を防ぎ、株式市場への影響を最小限にするつもりです。今回のストックオプション導入はあくまで役職員に対する長期的成長へのモチベーション向上のためで、今後も当社の業績動向に注目していただけたらと思います」
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