トーセイ、不動産再生とファンド・コンサルティングを強みに23年11月期に過去最高益目指す
2022/6/13 8:30
トーセイ<8923.T>は5月30日、モーニングスター主催の「個人投資家向けオンラインIRフェア」に参加し、経営管理部の藤原宣人執行役員が、「総合不動産会社トーセイのビジネスモデルと成長戦略」を説明した。また、著名投資家で株式会社Zeppy(ゼッピー)の井村俊哉社長と特別対談も行った。
<【第1部】総合不動産会社トーセイのビジネスモデルと成長戦略>
同社は6事業セグメントがあるが、不動産の再生事業と開発事業から成る「売買事業」、賃貸事業、ファンド・コンサルティング事業、管理事業、ホテル事業から成る「安定事業」に大別される。売上構成は売買7割、安定3割であるが、営業利益ベースでは安定事業が4割を稼いでいる。
主力事業のビジネスモデルについて、不動産再生事業は、経年劣化によって収益力が低下した中古のオフィスビルや賃貸マンションを同社が買い取り、リノベーション(デザインや機能を改善する改修工事や遵法性の確保、稼働率の向上などの付加価値を付けた改装)して販売するバリューアップビジネス。一方、不動産開発事業は、用地取得や古い建物を解体して用地を造成して開発を行う。立地条件や需要に応じてマンションや戸建住宅、商業施設、オフィスビルなどを開発するが、近年は物流施設・倉庫に対する需要が高まっていることから、物流施設開発にも参入している。
不動産ファンド・コンサルティング事業は、不動産ファンド投資家からファンドの投資・運用・管理などのアセットマネジメント業務を受託し、各種手数料を得る事業。傘下のトーセイ・アセット・アドバイザーズが業務を担っている。
不動産ファンドとは、SPC(特別目的会社)を設立し、投資家からの出資や銀行借入を原資としてSPCが不動産に投資し、賃料収入や不動産売却益などを配当として投資家に還元する仕組みである。
不動産コンサルティング事業におけるファンドのグループ受託資産残高(主として私募ファンド)は年々順調に伸びており、22年2月時点で1兆5000億円を突破した。受託資産残高の増加はアセットマネジメントフィーを中心に不動産ファンド・コンサルティング事業の売上伸長につながっている。なお、トーセイ・アセット・アドバイザーズは投資顧問業協会の「契約資産状況」調査(21年12月末時点)において私募ファンドの預かり資産残高(金融商品取引法上の投資一任業)の国内トップとなった。欧米・アジアなど海外機関投資家の資金が85%を占めている。
環境認識については、新型コロナの影響はアセットタイプによってまちまちの影響が出た。「ホテル」「商業施設」は新型コロナの影響が顕著だった。「オフィス」は営業自粛や緊急事態宣言等でオフィスの拡張や移転の動きが停止、テレワーク促進で空室率が上昇するなど賃貸市況が悪化した半面、売買価格は底堅かった。「住宅」は在宅で仕事をするため、広さとコストが意識され、都心から郊外に移る動きが強まった。「物流施設」は、巣ごもり消費でEコマースが拡大・定着し、底堅い需要がある。同社は物流、住宅、オフィスにフォーカスした投資を行っていく構えだ。
進行中の中期経営計画(中計)について、利益面では22年11月期は過去最高の税引前利益120億円に並び、中計最終年度の23年11月期は同140億円と過去最高更新を目指す。配当性向は21年11月期実績で26.7%、中計最終年度で30%程度に引き上げる見通しだ。
<【第2部】特別対談―井村氏の発言要旨>
井村氏は、国内不動産セクターの成長性について、3つの視点から注目している。第1は、建築コストの高騰。当然、不動産物件価格に反映されるが、不動産価格の上昇は物価の上昇に比べ伸びが加速している。
第2は、中古マンションの値上がりが首都圏近郊にまで広がっている点だ。トーセイグループはリノベーションによる中古物件の販売を着実に伸ばすほか、中古マンションなどにも出資する私募ファンドからの業務受託により、不動産ファンド・コンサルティング事業でセグメント利益率60%超という高収益を上げている。
3つ目は円安。海外機関投資家からみれば、世界的に金利上昇局面にある中で、日本の不動産物件は割安に映る。現にトーセイグループの私募ファンドの顧客の8割超が外資だ。始めに挙げたように、不動産価格の上昇は一方で投資利回りが低下し、投資妙味がなくなるリスクもあるが、それでも世界的にみれば日本の不動産は割安と考える海外機関投資家が多い。トーセイグループの強みは、外国人投資家に魅力ある物件を供給できること、外国人投資家によるインバウンド投資の受け皿となり、アセットマネジメントビジネスを拡大し続けていることが挙げられるだろう。
提供:モーニングスター社
関連記事
-
13日の東京外国為替市場見通し=ドル・円、底堅い展開か
2022/6/13 8:25
ドル・円予想レンジ:1ドル=133円40銭-135円10銭 13日の東京外国為替市場で、ドル・円は底堅い展開とみる。前週末に発表された米5月CPI(消費者物価指数)が市場予想を上回ったことで米インフレ・・・…続き
-
13日の債券市場見通し=様子見かそれとも荒れた展開か
2022/6/13 8:06
予想レンジ:債券先物中心限月(2022年9月限)148円40銭-149円00銭、10年国債利回り0.245%-0.250% ECB(欧州中央銀行)の利上げ表明などから現地9日の欧米の国債は売られ、10・・・…続き
-
<きょうの個別材料>大泉製、HEROZ、シャノン、ポールHDなど(10日発表分)
2022/6/13 7:48
▽大泉製、フェローテクが1株1300円でTOB(株式公開買い付け)を実施し連結子会社化▽HEROZ、23年4月期の単体業績は大幅な増益を計画▽シャノン…続き
-
13日の東京株式市場見通し=続落後、落ち着きどころを探る展開か
2022/6/13 7:47
予想レンジ:2万7200円-2万7600円(10日終値2万7824円29銭) 13日の東京株式は続落後、落ち着きどころを探る展開か。前週末10日の弱い動きや、現地10日の欧米株式が下落したことを受け・・・…続き
-
米国株式市場:CPIが市場予想平均を上回る、NYダウ、ナスダック3日続落
2022/6/13 7:46
前週末10日の米国株式は、3日続落した。NYダウが前日比880.00ドル安の3万1392.79ドル、ナスダック総合指数が同414.202ポイント安の1万1340.024ポイントで取引を終了。出来高概・・・…続き
速報ニュース
-
香港大引:ハンセン1.2%高で3日続伸、テック指数は2.5%上昇
1時間前
-
225オプション・コール(期近・7月3日・権利行使価格4万1000円)
2時間前
-
225オプション・プット(期近・7月3日・権利行使価格4万円)
2時間前
-
2時間前
-
2時間前
-
今晩のNY株の読み筋=「独立記念日」前の短縮取引で方向感欠く展開か
2時間前
-
中国大引:上海総合0.5%安で4日ぶり反落、不動産株は逆行高
2時間前
-
3時間前
-
3時間前
-
3時間前