【為替本日の注目点】9月のユーロ圏CPIは10.0%に上昇

為替

サーチナ

2022/10/3 10:20

 ドル円は再び144円台後半を試すが、144円81銭で上昇は抑えられる。ユーロドルは反発。9月のユーロ圏のCPI速報値が10.0%だったことを受け上昇。0.9818近辺まで買い戻しが進む。株式市場は下落が止まらず、この日も3指数が揃って大幅に下げる。ダウは500ドル下落し2万9000ドルの大台を割り込む。債券は続落。長期金利は3.82%台に上昇。金は反発し、原油は続落。

マーケット情報

8月個人所得 → 0.3%

8月個人支出 → 0.4%

8月PCEデフレータ(前月比) → 0.3%

8月PCEデフレータ(前年比) → 6.2%

8月PCEコアデフレータ(前月比) → 0.6%

8月PCEコアデフレータ(前年比) → 4.9%

9月シカゴ購買部協会景気指数 → 45.7

9月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 58.6

ドル/円 144.43 ~ 144.81

ユーロ/ドル 0.9734 ~ 0.9818

ユーロ/円 140.75 ~ 142.08

NYダウ -500.10 → 28,725.51ドル

GOLD +3.40 → 1,672.00ドル

WTI -1.74 → 79.49ドル

米10年国債 +0.043 → 3.829%

本日の注目イベント

日 4-6月期日銀短観

トルコ 9月消費者物価指数

欧 ユーロ圏9月製造業PMI(改定値)

米 9月ISM製造業景況指数

米 9月自動車販売台数 

米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演

米 ボスティック・アトランタ連銀総裁。会議挨拶

 米8月の個人消費支出(PCE)は、インフレ指標は市場予想を上回りましたが、一方で消費支出の方も増加が示され、物価上昇が続く中でも、家計の堅調な支出が続いているようです。PECデフレータでは前月比では伸びており、コアデフレータでは前月比、前年比とも伸びていました。この結果を受け、債券市場では債券が売られ、金利が上昇。株式市場では下げが止まらず、主要3指数は大幅に続落しています。一方、ドル円は堅調に推移してはいるものの、144円80銭~145円の水準が壁となり、この日も144円81銭で上昇が止められ、先週1週間はほぼこの傾向が見られました。ユーロドルは、9月のユーロ圏の消費者物価指数(CPI)が速報値で10.0%と、前月から加速しており、これで5カ月連続でインフレ率は上昇していました。今後も大幅な利上げが不可欠との見方からユーロドルは上昇しましたが、エネルギー価格の上昇とイタリアの政局不安によるユーロ売りが、金利高によるユーロ買いとぶつかり合う展開が続いています。

 FOMCメンバーによる講演では、相変らずインフレ抑制に向けて利上げを継続するといった内容が多かったようですが、やや意見の違いも見られ始めています。SFシスコ連銀のデーリー総裁は、「最優先事項はインフレを抑制することだ」とし、「追加利上げを実施すると確信しており、バランスの取れた経済に戻すためには適切なことだと考えている」と述べています。また、ブレイナード副議長はNYでの講演で、「金融環境引き締めの完全な効果が様々なセクターを通じて波及し、インフレを押し下げるまでには時間がかかる。しばらくの間は景気抑制的な金融政策を維持し、インフレが目標に戻りつつあるという確信を得る必要がある。従って、われわれは時期尚早な政策巻き戻しを避けることをコミットしている」と発言し、世界の金融市場混乱が深まる状況にあっても、米金融当局として利上げを継続する決意であることを明確に示しました。(ブルームバーグ)

 一方、リッチモンド連銀のバーキン総裁は、「われわれが本気だということは周知されている。優先するのはインフレを抑制することだ」としながらも、「インフレは依然として広範囲に広がり根強いが、政策金利の引き上げペースが高まる中で主要な物価押し上げ圧力は和らぎ始めている兆候が見られる」と発言しています。今年上半期の世界の債券、株式市場では、相場の下落により合計で44兆ドル(約6300兆円)という膨大な金額が消滅し、半期ベースでは過去最大になった(10月1日付け日経新聞)と伝えられています。パウエル議長が述べた、「政策変更に伴う痛み」も、かなり具現化されてきたように思います。今年も残り3カ月となりましたが、年内にインフレ鎮静化のデータが確認できるのかどうかが一つの焦点です。

 先週のドル円は久しぶりに値幅も少なく、静かな週でした。概ね144円台で推移し、145円に近づくと売られる展開で上値の重い印象が残りましたが、それでも大きく売られることはありませんでした。この動きを見ていると、「どちらかと言えば、ドル円は上に行きたがっている」と考えています。145台では介入警戒感が強まり、仮に介入が入れば2~3円程度円高に振れる可能性があることから、144円台前半から半ばでドルを買った投資家は「それなら144円台後半で手放そう」とすることが、一時的な「壁」につながっている部分はあるかと思います。その意味では今のところ「介入の効果」が出ているとも言えます。ドル円の今後の動きは、FRBの利上げスタンス次第ということになりますが、それもインフレのピークアウトを示すデータがいつ確認できるのかということになります。

 本日のドル円は143円80銭~145円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

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・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://www.morningstar.co.jp/redirect/gaitameonline_calender.htm

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