【為替本日の注目点】政府、2度目の市場介入をNY時間に実施

為替

サーチナ

2022/10/24 10:29

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は東京時間から上昇の勢いを強め、NYの朝方には151円94銭までドル高が進行。この時点で政府・日銀の介入と見られるドル売り円買いが入り、ドル円は一気に146円台に。ユーロドルは0.9705まで売られたが、その後0.98台まで急反発。株式市場は大幅に反発し、3指数は揃って上昇。ダウは748ドル買われ、ナスダックは244ポイントの上昇。FRBが12月の会合で利上げ縮小の議論を始めるとの報道が材料に。債券は小幅に上昇。朝方は大きく売られ、長期金利は4.33%台付近まで上昇したが、FRBが利上げ幅縮小を議論するとの報道に4.21%台まで低下。金と原油は上昇。

マーケット情報

9月財政収支 → -429.7b

ドル/円 146.28 ~ 151.94

ユーロ/ドル 0.9705 ~ 0.9869

ユーロ/円 144.10 ~ 148.40

NYダウ +748.97 → 31,082.56ドル

GOLD +19.50 → 1,656.30ドル

WTI +0.54 → 85.05ドル

米10年国債 -0.012 → 4.217%

本日の注目イベント

独 10月製造業PMI(速報値)

独 10月サービス業PMI(速報値)

欧 ユーロ圏10月製造業PMI(速報値)

欧 ユーロ圏10月サービス業PMI(速報値)

欧 ユーロ圏10月総合PMI(速報値)

英 10月製造業PMI(速報値)

英 10月サービス業PMI(速報値)

米 10月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)

米 10月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)

米 10月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値)

 先週末(10月21日)のアナリストレポートで、筆者はこのように記述しました・・・。

 『その間、覆面介入を行った形跡はあるようですが、結局2回目の大規模な介入は実施されず、「介入があったらドルを買おう」と考えていた投資家は「肩すかし」をくった格好となり、我慢しきれずにドルを買った側面もあるようです。一方、政府日銀としてもこのような状況は分かっていて、介入の効果に対する懸念もあるように思えます。ただ、だからと言って今後も介入の可能性がなくなったわけではなく、当局はより効果的なタイミングを狙っているのではないかと考えています。』さらに、コメントの後半で『150円台で戻ってきたドル円ですが、市場のセンチメントはこの1週間でかなりドルブル(ドルに対して強気)に傾いてきたようにも思えます。なかなかドルが下がらず、ドルを買えていない投資家も多いのではないかと思いますが、介入の可能性は高まる一方で、安易なドルロングには注意したいところです。』

 そして、最後のレンジ予想では、『本日のドル円は149円~151円程度と見ていますが、これは通常の市場環境での予想です』と結びました。150円を超えてドル高が急激に進み、2度目の介入の可能性が非常に高まっていましたが、夕方5時までの「東京市場」では介入がなかったことでドル円はさらに上昇し、NYでは「満を持して」介入に踏み切ったものと思われます。介入規模はいずれ明らかにされますが、現時点の推計では300億ドル(約4兆5000億円)と見られているようですが、もしこれが正しいとすれば、前回9月22日の介入規模よりも多いということになります。筆者は、最初の介入が行われ140円台までドルが売られた後、145円台まで再び戻った10月7日(金)に介入すべきだったと、何度もこの欄で述べました。今回のNYでの介入は筆者も「予想外」でした。NY時間に行ったことで、それなりの効果はあったようですが、週明けの執筆時点ではすでに149円台まで再びドルが買われています。これも何度も触れていますが、介入の効果は1度目よりも2度目の方が小さく、今後回を重ねる度にその効果は薄れていくと見ています。市場参加者のスタンスもむしろ「介入を待つ」姿勢を強め、介入があれば「絶好のドルの買い場」と考えるようになります。

 当たり前と言えば当たり前です。足元のドル高円安を是正するには、「1.米国のインフレがピークを付けたという、持続的かつ説明できるデータが必要」、「2.あるいは円安を引き起こしている要因の一つである日銀の政策変更もしくは政策の修正」が必要です。そして最後は今回行われた「力ずくの水準訂正」、つまり「3.市場介入」です。3番目の市場介入には限界があります。9月22日の介入がそうであたったし、今回も151円台後半で介入に踏み切り、146円台まで水準を押し下げましたが、すでに149円台まで値を戻しています。やはり「市場の流れ」を「力」で変えるのは簡単ではありません。出来たら、今日にも再び介入すべきでしょう。さもなければドル円は再度150円台を回復し、151円台に上昇する可能性が高いと予想します。その結果、結局投機筋などに、安くドルを供給しただけということにもなりかねません。因みに、先週末のNYでの介入で、日経新聞は「ドル円は一時144円台まで下げた」と報じていますが、筆者が調べたところ、146円台前半辺りがこの日の安値の可能性があります。今回の介入はEBSなど、いわゆる電子ブローキングを使ったようで、相場の出会いは相当混乱していたものと思われ、出会いレートに大きな差が見られているようです。筆者が参考にしているブルームバーグのプラットフォーム上では、「146円356銭」となっていました。また今回の介入についても、政府・日銀は「介入したかどうかコメントしない」としており、正式には介入したかどうかは未確認となっています。

 今回の介入が「それなりの効果」を発揮したのは、まず安全地帯と見られていたNY市場での介入だったことが挙げられます。さらに、介入前にはウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の報道が 米金利の低下を促していました。WSJは「一部のFRB当局者らは政策の引き締め過ぎを懸念している。利上げは3月以降で合計3ポイントに達し、11月のFOMCでも75bpの再利上げが予想されている。12月の利上げ幅が比較的小幅になる可能性があることを示唆すべきかどうか、政策当局者らは議論する可能性が高い」と報じています。この報道をきっかけに、4.33%台付近まで上昇していた米10年債利回りは低下に向い、ドル円も上値が重くなったタイミングでドル売り円買いに踏み切ったことが功を奏したとみられます。デーリー・SFシスコ連銀総裁は21日、カリフォルニア大学バークレー校が主催したイベントで、政策当局者らは利上げ幅の縮小を計画し始めるべきかについて、「現時点では少なくとも検討すべきことではあるが、これまでのところデータは協力的ではない」と述べながらも、「市場で織り込まれているはずの75bpの再利上げとなる可能性はありそうだが、いつまでも75bpだという考えに固執しない方が良いと心から勧めたい」と語っています。(ブルームバーグ)

 ドル円は8時50分の時点ですでに149円71銭まで上昇しています。本日のドル円は146円~150円50銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://www.morningstar.co.jp/redirect/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://www.morningstar.co.jp/redirect/gaitameonline_calender.htm

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