【為替本日の注目点】米経済指標の下振れからドル円147円台に下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円は下落。東京時間から欧州時間にかけては148円台後半から149円程度で方向感がなかったが、NYでは経済指標の下振れを材料に米長期金利が低下したことで147円52銭まで下落。ドルが売られたことでユーロドルも反発。0.9977まで買われ、3週間ぶりのユーロ高に。株式市場は3営業日連続で大きく上昇。ナスダックは2%を超える上昇を見せ、1万1000ポイント台を回復。債券相場は大きく買われ長期金利は4.1%台まで急低下。金と原油は揃って反発。
マーケット情報
8月ケース・シラ-住宅価格指数(20都市住宅価格指数) → 13.1%
8月FHFA住宅価格指数 → -0.7%
10月コンファレンスボード消費者信頼感指数 → 102.5
10月リッチモンド連銀製造業景況指数 → -10
ドル/円 147.52 ~ 148.95
ユーロ/ドル 0.9857 ~ 0.9977
ユーロ/円 146.63 ~ 147.49
NYダウ +337.12 → 31,836.74ドル
GOLD +3.90 → 1,658.00ドル
WTI +0.74 → 85.32ドル
米10年国債 -0.104 → 4.102%
本日の注目イベント
豪 第3四半期消費者物価指数
日 8月景気先行指数(CI)(改定値)
日 8月景気一致指数
米 9月新築住宅販売件数
米 企業決算 → ボーイング、フォード、
加 中銀政策金利発表
昨日のNY市場までのドル円は、149円台に乗せると売られるものの、148円台半ばまでは下げないといった、方向感のない動きでしたが、NYでは一転してドル売りが優勢となり、ドルが147円台半ばまで押し下げられる展開でした。「悪材料は好材料」・・・・といった市場の反応は変わっておらず、その意味では主要市場の動きは分かりやすいものでした。
10月のコンファレンスボードが発表した消費者信頼感指数は「102.5」に低下し、市場予想の「105.9」を大きく下回っていました。今後6カ月の見通しを反映する期待指数も「78.1」と低水準で、広範囲に及ぶインフレと、経済見通し懸念、株価の大幅下落などが消費者マインドを悪化させたようです。また8月のケース・シラー住宅価格指数も全米ベースでは前年同月比13%上昇しましたが、上昇率は過去最大の減速を記録しています。FRBの急速な利上げが住宅ローンなど、借り入れ金利の大幅上昇につながり、潜在的な買い需要を後退させているようです。一般的な住宅ローンの金利は7%に近づいているとみられ、住宅市場はすでに「景気抑制策」の影響が明らかに出ている模様です。FRBにとってこれが、まさに意図しているところで、「悪材料は好材料」と言えます。
これら「好材料」を受け、NY株式市場では急反発が続いています。ここ3日間でダウは1500ドルを超える上昇を見せ、ナスダック指数の上昇も580ポイントを超えています。恐怖指数と呼ばれる「VIX指数」も、直近ピークであった7月の「36.45」から「28.46」まで低下してきました。株式関係者にはやや安堵感が広がってきたようですが、現時点ではFRBは依然として景気の拡大にブレイキを踏み続けており、今後米景気がリセッション入りするリスクを考えると、まだ枕を高くして眠れる状況ではないと予想されます。
米経済指標の下振れに債券は買われ、長期金利の低下にドルを手放す動きが、ドル円を147円台半ばまで押し下げましたが、個人投資家の多くは「ドルが下がれば買う」というスタンスを維持しています。日米金利差が大きく縮小する可能性はしばらくないことに加え、資源価格が大幅に低下する見込みもないことから日本の貿易赤字もしばらく続き、ドル買い需要の減少も見込まれません。注意すべきは政府・日銀によるドル売り介入ということになりますが、これも足元では「急激な動きが見られる時」と、「150円台での介入が意識される」と思いますが、ドルの水準を押し下げる、いわゆる「押し下げ介入」の可能性は低いと予想されます。ただ、気を付けたいのは昨日のように、今後発表される経済指標が下振れするケースが増えて来る点です。雇用統計やCPIは当然ですが、普段あまり注目されない指標でも大きく下振れするとドル売りにつながる可能性があるということです。背景には多くの市場参加者がもう一段のドル高を予想し、ドルロングを維持していると見られることが挙げられます。ドル高観測が優勢とは言っても、ドル円が何らかの理由でテクニカル上重要な水準を割り込むと、そこでストップロスのドル売りが誘発され、さらにドルが下がることもないとは言えません。特に機関投資家やヘッジファンドなどはそういったオペレーションがルール上設定されているケースが多いと言われています。現時点ではその水準は140円程度と個人的には予想しています。今週で言えば、明日のECB理事会後の政策金利の発表と、金曜日の日銀金融政策決定会合ということになります。
本日のドル円は147円~149円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
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・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
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