【為替本日の注目点】ドル円欧州で133円台半ばまで下落

為替

サーチナ

2022/12/5 10:27

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル売りの勢いは止まらず、欧州市場では一時133円61銭前後までドル安が進む。その後、米11月の雇用統計が予想を上回った結果にドルが買われ、136円手前まで反発したが、134円台前半で引ける。ユーロドルも雇用統計発表後には1.0430まで売られたが、その後1.05台半ばまで上昇。株式市場はまちまち。雇用統計発表直後は大きく売られたが、長期金利の低下もあり、ダウはプラスで引ける。ナスダックとS&P500は小幅なマイナスで越週。債券は朝方売られ、長期金利は上昇したが、その後低下に転じる。3.48%台で取り引きを終える。金と原油はともに下落。

マーケット情報

11月失業率 → 3.7%

11月非農業部門雇用者数 → 26.3万人

11月平均時給 (前月比) → 0.6%

11月平均時給 (前年比) → 5.1%

11月労働参加率 → 62.2%

ドル/円 134.05 ~ 135.98

ユーロ/ドル 1.0430 ~ 1.0542

ユーロ/円  141.14 ~ 142.19

NYダウ +34.87 → 34,429.88

GOLD -5.60 → 1,809.60ドル

WTI -1.24 → 79.98ドル

米10年国債 -0.019 → 3.486%

本日の注目イベント

中 11月財新サービスPMI

中 11月財新コンポジットPMI

欧 ユーロ圏10月小売売上高

欧 ユーロ圏11月サービス業PMI(改定値)

欧 ユーロ圏11月総合PMI(改定値)

欧 ラガルド・ECB総裁講演

米 11月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)

米 11月S&PグローバルコンポジットPMI(改定値)

米 10月耐久財受注

米 10月製造業受注

米 11月ISM非製造業景況指数

加 10月住宅建設許可件数

 多くの米経済指標が大幅な利上げの影響から、景気が抑制され始めている結果を見せる中、最も注目される「雇用統計」では、依然として緩やかな拡大傾向が続いています。「11月の雇用統計」では、非農業部門雇用者数(NFP)は事前予想の「20万人の増加」を上回る「26.3万人の増加」でした。さらに10月の速報値も「26.1万人」から「28.4万人」に上方修正され、労働市場の底堅さがあらためて明らかになっています。失業率は「3.7%」と市場予想と一致し、前月から横ばいでした。

 人手不足の解消が進んでおらず、中小・自営業者の業界団体である全米自営業者連盟(NFIB)の調査では、10月時点で経営者の46%が「求人が埋まらない」と答えています。(日経新聞)ただそれでも、2022年のNFPの推移を確認すると、1月、2月が非常に好調で50万~70万人もの増加を示し、市場に驚きの声が上がりました。3月から7月辺りまでは、概ね40万~50万人とやや鈍化し、8月は31.5万人の増加にとどまっています。そして9月からは3カ月連続で20万人台後半で推移しており、労働市場は底堅いとは言え、雇用者数の増加ペースは明らかに鈍化していると考えられます。もっとも、米国では20万人の増加であれば、まずまずの水準と見られており、人手不足を解消するにはさらに賃金を上げるしか方法がないのかもしれません。そして、そのことがインフレの高止まりにつながることは明白です。

 ドル円ではドル売りの勢いが止まらず、先週末の東京市場の夕方には節目の135円台を割り込み、欧州市場朝方には一時133円61銭辺りまで一気にドル安が進みました。135円割れでは「ストップロス」も多く執行されたと思われ、ドル下落を加速させたようです。ここまでの動きはほぼ想定通りのものでした。先週1週間だけでも6円を超える下落と、かなり厳しい下げとなっています。こうなると、下値のメドは「130円の大台」ということになりますが、その前に、今年のドル円の上昇分である38円47銭の「半値戻し」である、「132円70銭近辺」が重要かと思います。「半値戻しは全値戻し」という言葉があるように、ここを割り込むとさらに下落が加速する可能性があります。ただ、冷静に考えれば、まだ米国の高インフレは終息したわけではなく、今後のデータ次第ですが、インフレが息を吹き返すこともないとはいえません。135円―140円のレンジに戻る可能性を意識したいと思います。

 シカゴ連銀のエバンス総裁が2日講演で、「FF金利の引き上げペースは減速する可能性が高いが、ピークの金利水準は恐らく若干高めになりそうだ」と述べ、「インフレ率は極めて高い。当局目標の2%に下げるため、われわれは金融環境を適度に景気抑制的水準にする途上にある」と指摘しています。エバンス総裁は来年1月9日にグールズビー・シカゴ大学教授とバトンタッチする予定で、今月のFOMCが最後の会合になります。またタカ派のイメージの強いサマーズ元財務長官はブルームバーグテレビジョンの番組で、「インフレ抑制の道のりは長い。金融当局は市場が現在判断し、当局者が今発言しているよりも一段の利上げが必要になると思う」と述べ、「6%がわれわれが書くことができるシナリオだ。5%は最善の予測ではない」と話しています。

 バイデン大統領は1日、マクロン仏大統領との共同会見で「戦争を終わらせる方法は一つだけだ。プーチン氏がウクライナから撤退することだ」と指摘しました。さらに、「すぐに連絡をとる予定はない」としながらも、「もし戦争を終結させる方法を探っているなら、プーチン氏と話す用意がある」とも述べています。ロシアによるウクライナへの攻撃はインフラ施設を中心に続いており、厳寒を迎える中、双方とも相当な疲労が積み重なっており、早期の停戦が望まれます。マクロン大統領は帰国後、プーチン氏と電話会談に臨む予定です。

 本日のドル円は133円50銭~135円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

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・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

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