<新興国eye>前週のブラジル株、欧米同時利上げやペトロブラス急落を受け続落=BRICs市況

新興国

2022/12/19 9:16

 前週(12-16日)のブラジル株式市場は16日のボベスパ指数が前日比0.85%安の10万2855.7、週間ベースでは9日終値比4.34%安と、続落した。

 週明け12日は指数が急反落。翌13日も続落した。14日は反発したが、15日は小反落。

 週前半は、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策決定会合を間近に控え、積極的な買いが抑えられる中、指数の構成ウエートが高い国営石油大手ペトロブラスと鉱山大手ヴァーレが急落し、下げを主導した。ペトロブラスの急落はホスエ・ゴメス氏が同社の次期社長に指名されるとの観測が嫌気された。ゴメス氏はルラ次期大統領の元側近ジョゼ・アレンカール元副大統領の子息。また、ルラ新政権が積極財政派のハダド財務相など主要閣僚を正式に発表したことや、ブラジル中銀が議事録を公表、財政規律の変更により、インフレが加速する懸念があると警告したことを受け、売りが優勢となった。

 週後半は、これまでの相場下落を受け、安値拾いや値ごろ感による買い戻しが活発化した。ただ、GDP(国内総生産)の先行きを占う10月IBCーBr経済活動指数が前年比3.68%上昇と、前月の同4.53%や市場予想(4%上昇)を下回ったことや、ペトロブラスが急落したため、上値が重くなった。その後は、FRBが金融政策決定会合で利上げ幅を縮小したものの、政策金利のピーク見通しを5.1%に引き上げたことを受け、利上げ長期化懸念が強まったこと、さらにはECB(欧州中央銀行)とBOE(英中銀)の同時利上げも嫌気され、売りが優勢となった。ただ、前日急落したペトロブラスとブラジル銀行が急反発したため、下げは限定的となった。

 週末16日は続落。引き続き、前日の欧米の利上げ継続を受け、新興国からの投資資金流出懸念が強まり、リスク投資回避の売りが広がった。

 今週(19-23日)の株式市場は、ウクライナ情勢や西側の対ロ追加制裁、台湾情勢巡る米中関係、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、特にルラ次期大統領の経済政策も注目される。主な経済指標の発表予定は21日の11月経常収支や23日の11月中旬時点のIPCA(拡大消費者物価指数)など。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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