海外株式見通し=米国、香港
【米国株】主要3指数、S&P500など調整未了の可能性

2022年を振り返ると、NYダウは27日時点で1月5日の3万6952ドルが高値となり、10月13日の2万8660ドルが安値となった。S&P500株価指数とナスダック総合指数も年初の1月4日がピークとなり、10月13日に安値を形成している。
コロナ禍前の過去最高値との位置関係では、NYダウが20年2月の高値2万9568ドルを下回ったのに対し、S&P500株価指数は20年2月の高値2855ポイントを、そしてナスダック総合指数も同様に20年2月の高値9838ポイントを下回っていない。
NYダウが構成30銘柄の平均株価をベースとするのに対し、S&P500とナスダックは構成銘柄の時価総額加重平均で算出するため、時価総額上位銘柄の影響を受けやすい。20年4月以降、コロナ禍に伴う米政府からの救済支給金や大規模金融緩和による過剰流動性が大型時価総額のITプラットフォーマーの株価を押し上げたことで、調整下落が済んでいない可能性が示唆される。金融引き締めの継続を通じて、S&P500とナスダックが新型コロナ前高値を下回る可能性には注意が必要だろう。
ドルインデックスの日次終値は9月27日に約20年ぶりの水準に相当する114.10ポイントの高値を付けた後、27日終値は104.18ポイントまで下落した。22年7~9月決算発表企業は、業績見通しの前提となる為替レートを決算発表日近辺の10月後半に設定している場合が多い。
海外売上比率の高い多国籍企業にとって10~12月以降の決算発表で上方修正の余地がありそうだ。20日発表の日銀政策決定会合での金融緩和修正への転換もドル安基調定着を後押しする要因になり得る。
【香港株】経済再開シフト、mRNAワクチン接種期待
香港ハンセン指数(またはハンセンテック指数)を構成する95銘柄について、27日終値での昨年末来騰落率の上位10銘柄は、中国神華能源や中国海洋石油といったエネルギー関連国営企業、チャイナ・ユニコムやチャイナ・モバイルなどの国営通信企業が高配当利回りを武器に安定して上位を占めた。
その一方、中国が厳しいゼロコロナ政策を採っていた時期からオンライン旅行予約サイトのトリップドットコムグループ、マカオでカジノを運営するサンズ・チャイナやギャラクシー・エンターテイメントは買われる傾向にあった。直近では人気火鍋料理チェーンのハイディラオも強含み、ゼロコロナ政策緩和後の感染拡大下でもその傾向に変化は見られない。
バイオ企業のビオンテック(ドイツ)は、「m(メッセンジャー)RNA」型のワクチンを中国に滞在するドイツ国民向けに発送し、21日に到着したと発表。外国製コロナワクチンが中国本土に供給されるのが初めてとなる中で、中国製薬大手の上海復星医薬集団(シャンハイ・フォサン・ファーマスーティカル)はビオンテックに出資もしており、mRNAワクチンの大中華圏への販売権を既に有している。
香港政府はビオンテックと上海復星医薬が共同開発したmRNA新型コロナワクチン「復必泰(コミナティ)」のオミクロン変異株対応品について、4回目接種時(コロナに感染し回復した人は3回目)の選択肢の1つとして12月から導入した。上海復星医薬の22年1~9月決算(中国会計基準)は、売上高が前年同期比17%増の316.10億元で、保有するビオンテック株の評価損など非経常損益を除く純利益は同16%増の28.59億元だった。中国本土で中国人に対してmRNA型ワクチン接種が認可されることになれば、「復必泰」の採用が有力候補となる可能性が高いとみられる。
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(フィリップ証券リサーチ部・笹木和弘)
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