【為替本日の注目点】ドル円再び131円台に下落

為替

サーチナ

2023/1/10 10:27

ひと目でわかる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は続落。前日の雇用統計後のドル売りの流れが継続し、アジア時間には131円31銭近辺までドル安が進む、その後の欧州では132円台を回復したものの、NYでは再びドル売りが強まり131円台半ばまで下落。ドル安の流れからユーロドルは続伸し、1.0760まで上昇。株式市場は先週末に大幅高となり、この日も朝方は上昇して始まったが、地区連銀総裁のタカ派発言にダウは121ドル安。ナスダックは小幅ながら続伸。債券は続伸し、長期金利は3.53%台に低下。金は続伸し、一時は昨年8月以来となる1886ドル台まで上昇。中国と見られる買いが続いているとの観測も。原油も買われ、小幅高。

マーケット情報

11月消費者信用残高 → 27.962b

ドル/円 131.54 ~ 132.27

ユーロ/ドル 1.0686 ~ 1.0760

ユーロ/円 141.23 ~ 141.91

NYダウ -112.96 → 33,517.65ドル

GOLD +8.10 → 1,877.80ドル

WTI +0.86 → 74.63ドル

米10年国債 -0.026 → 3.532%

本日の注目イベント

日 11月東京都区部消費者物価指数

欧 日伊首脳会談

欧 米英中銀総裁、スウェーデン中銀主催シンポジウムに参加

英 12月消費者物価指数

米 11月生産者物価指数

 ドル円は先週間末のNYで134円80銭手前まで買われましたが、予想通り雇用統計発表後は下落し、日本が祝日であった昨日のアジア時間には131円台前半まで押し戻される展開でした。予想通りとはいえ、雇用統計の内容を考えるとやや違和感も残る動きでした。

 12月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想の「20.3万人」を超え、「22.3万人」でした。ただ11月分は「26.3万人」から「25.6万人」に下方修正されています。また、失業率も予想の「3.7%」から「3.5%」に低下し、11月分も「3.7%」から「3.6%」に改善しています。12月の失業率「3.5%」は、昨年7月、9月に記録した50年ぶりの低水準に並ぶものでした。しかし、投資家が注目したのは同時に発表された「平均時給」にあったようです。平均時給は「前月比」、「前年同月比」ともに伸びが鈍化しており、今後消費に与える影響を考えると「良い材料」と見られたようです。人出不足を背景に高賃金を提示しなければ適正な労働力を得られないといった構図に変化が出て来たのかもしれません。ここはもうしばらく注視する必要がありそうです。雇用統計を受け、株式は大幅に買われ、ダウは700ドルを超える上昇を見せ、債券も買われ、金利低下からドル円は132円台まで売られました。昨日はさらにドル安が進み、131円台前半まで売られたことで、結局先週1週間は「往って来い」の相場展開でした。引き続き値幅の大きい荒っぽい動きです。

 雇用統計の後に発表された12月の「ISM非製造業景況指数」もドル売りを誘ったようです。同指数は2022年度では初めて好不況の分かれ目である「50」を割り込み、「49.6」と、2020年5月以来の低水準でした。賃金とサービスの軟調な指標を受けて「市場ではサービス価格のインフレも和らぐとの期待につながった」(日経新聞)と受け止められています。「悪いニュースは良いニュース」の典型だったようです。ただ、この指標も厳しい寒波の影響で、年末年始の移動が混乱したことや、広範な地域で停電が起きたことが影響した可能性もあり、このままインフレ抑制に寄与していくかどうかは未知数です。

 アトランタ連銀のポスティック総裁は9日に行われたイベントで、「われわれは決意を固く持ち続ける必要がある」として、「経済から過剰な需要を取り去るため政策金利を5-5.25%に引き上げることが正当化される」と述べています。また5%超の政策金利を維持する期間につては「長期だ。政策転換は考えていない。利上げを停止してその水準を維持し、政策が結果を表すのを見守るべきだ」と、政策金利を長期にわたり維持する考えを示しています。またサンフランシスコ連銀のデーリー総裁もウォールストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、「政策金利は最終的に5%を幾分上回る水準まで引き上げられる」と述べ、「ただ、利上げ終着点の具体的な水準は不明で、今後発表されるインフレ統計次第だ」と語っています。(ブルームバーグ)年明け早々からFOMCメンバーによる発言が相次いでいますが、ほぼ全員がタカ派的な発言を繰り返し、市場の楽観的な観測をけん制する姿勢を見せています。

 ロシアのプーチン氏が突如行った「36時間の停戦」は全く意味を持たなかったようです。結果的にはウクライナとの将来の「停戦交渉」のハードルをさらに上げてしまったかもしれません。停戦は「ロシアによる時間稼ぎだ」としてウクライナはロシアを攻撃し、多数の兵士が犠牲になりました。ロシアはその報復攻撃を行い、ウクライナ兵600人以上を殺害したと発表しましたが、ウクライナ側はこれを否定しています。フランスが軽戦車「AMX-10RC」のウクライナへの供与を決め、バイデン政権も歩兵戦闘車「ブラッドリー」を提供する可能性もあり、侵攻開始1年を前に戦況はさらに激しくなりそうな気配です。

 本日のドル円は131円~133円程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

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