【為替本日の注目点】NYダウ3日続落

為替

サーチナ

2023/1/20 10:09

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は終始128円台で推移し、128円80銭まで買われる場面も。労働市場の底堅さを示す指標や、FRB高官からのややタカ派的な発言がドルを支える。ユーロドルは水準を切り下げたものの、底堅く推移。ラガルドECB総裁の発言に1.0840まで上昇。株式市場は3日続落。ブレイナードFRB副議長のタカ派寄りの発言もあり、ダウは252ドル安。ここ3日間で1250ドルに迫る下落幅を記録。債券は反落。長期金利は小幅に上昇し、3.39%台に。金と原油は揃って上昇。

マーケット情報

新規失業保険申請件数 → 19.0万件

12月住宅着工件数 → 138.2万件

12月建設許可件数 → 133.0万件

1月フィラデルフィア連銀景況指数 → -8.9

ドル/円 128.23 ~ 128.80

ユーロ/ドル 1.0783 ~ 1.0840

ユーロ/円 138.51 ~ 139.17

NYダウ -252.40 → 33,044.56ドル

GOLD +16.90 → 1,923.90ドル

WTI +0.85 → 80.33ドル

米10年国債 +0.022 → 3.391%

本日の注目イベント

日 12月消費者物価指数

独 12月生産者物価指数

欧 ラガルド・ECB総裁講演

英 12月小売売上高

米 12月中古住宅販売件数

米 ウォラーFRB理事講演

米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演

加 カナダ11月小売売上高

 1日で4円も上昇し、その日のうちに4円下落するなど、連日の荒っぽい相場に疲れたのか、昨日の為替市場はここ数日では極めて静かな1日でした。ドル円は127円台後半まで売られる場面もありましたが、勢いはなく、NYでは128円台前半から後半での推移でした。経済指標の発表と、FRB高官による発言はありましたが、流れを大きく変えるような動きにはなっていません。ただ、NY株式市場では株に対するネガティブな見方が続き、ダウは3日続落。FRBによる利上げが長期化するとの見方や、米景気そのものに対する懸念も株価の重荷になっているようです。

 FRBのブレイナード副議長は19日、シカゴ大学で講演を行い、「インフレは最近緩やかになったものの、依然として高い水準にあり、これが持続的なペースで2%に下がることを確実にするためには、十分に抑制的な金融政策をしばらく続ける必要があるだろう」と述べ、今後も景気抑制的な政策が続く可能性に言及しました。ブレイナード氏は今月末から開催されるFOMCでの利上げ幅については触れていません。一方ボストン連銀のコリンズ総裁は、「政策金利が景気を抑制する領域に入り、最新の指標に基づくとピークに近づいている可能性が示唆された現在、当初の急速な引き締めペースをより緩やかな速度にシフトしたのは適切だと考える」(ブルームバーグ)とし、次回FOMCでは0.25ポイントの利上げを支持する考えである可能性を示唆しています。両者の認識は、これまで多くのFOMCメンバーが発言した内容と足並みが揃っていると受け止めています。

 米財務省は19日、連邦債務が上限に達したことから、デフォルトを回避するための特別措置の活用を開始したと発表しました。イエレン財務長官はすでに先週の時点で特別措置を講じる意向を議会に示していたこともあり、混乱はありませんが、今後議会で上限引き上げが議論されることになり、ウクライナに対する継続的な支援についても、財源の観点から議論されるかもしれません。財務省は、連邦債務支払い継続のため、政府が運用する退職者向け基金2つの財源を活用する見込みです。

 ウクライナ支援に向けて追加の武器供与を表明する国が相次いでいます。バイデン政権は、25億ドル(約3200億円)規模の軍事支援で、米軍の装甲車「ストライカー」を約100台供与する計画で、英国も地上・空中発射型ミサイル「ブリㇺストーン」を追加で600発、デンマークもフランス製の戦車などを供与するようです。そんな中最新の戦車を保有するドイツの判断が注目されていますが、ショルツ首相はNATOとロシアの全面的な戦いを避けたい意向から同戦車の供与にはやや消極的です。ドイツ製の戦車を保有するポーランドは、ドイツの承認が必要としながらも、「ドイツの承認が得られなくても行う可能性がある」と、モラウィエツキ同国首相は語っています。一方ロシアは戦争の長期化をにらんだ中、プーチン氏はロシア軍の規模を150万人まで拡大する計画を明らかにしており、間もなく侵攻開始から1年が経過しますが、停戦どころか、戦況がさらに悪化しそうな状況になっています。

 ドル円は依然としてドルの上値が重い展開が続くと予想します。次回FOMCでは上述のように、0.25ポイントの利上げで決まりの様相です。ただ、今後の米インフレ率がどのようなペースで、どこまで減速するのかが鍵であることに変わりはありません。FOMCのほぼ全てのメンバーは、インフレ率の減速には慎重な見方を崩していません。もしその見方が正しいとなると、データ次第では「ドル先安観測の修正」もないとは言えません。方向性は維持しながらも、フレキシブルに。

 本日のドル円は127円~129円50銭程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

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