【為替本日の注目点】ドル円137円手前まで上昇後急落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円は欧州時間朝方から上昇し136円台後半まで買われた。NYでは136円92銭までドル高が進むが、その後消費者マインドの発表を受け135円73銭まで売られる。ユーロドルは小じっかり。フランスなどのCPIが予想を上回ったことがユーロを下支え。株式市場は下落。特にダウは下げがきつく232ドル安。ナスダックとS&P500は下げ幅を縮小。債券は一時売られ金利は上昇したが、その後持ち直す。長期金利は3.92%台で取引を終える。金と原油は揃って上昇。
マーケット情報
12月ケース・シラ-住宅価格指数 → 4.65%
12月FHFA住宅価格指数 → -1.1%
2月シカゴ購買部協会景気指数 → 43.6
2月リッチモンド連銀製造業景況指数 → -16
2月コンファレンスボード消費者信頼感指数 → 102.9
ドル/円 135.73 ~ 136.92
ユーロ/ドル 1.0574 ~ 1.0645
ユーロ/円 143.85 ~ 145.47
NYダウ -232.30- → 32,656.70ドル
GOLD +11.80 → 1,836.70ドル
WTI +1.37 → 77.05ドル
米10年国債 +0.008 → 3.922%
本日の注目イベント
豪 1月住宅建設許可件数
豪 10-12月期GDP
豪 1月消費者物価指数
中 2月中国製造業PMI
中 2月財新製造業PMI
独 2月雇用統計
独 2月消費者物価指数(速報値)
独 2月製造業PMI(改定値)
欧 ユーロ圏2月製造業PMI(改定値)
英 ベイリー・BOE総裁講演
米 2月ISM製造業景況指数
米 2月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)
米 2月自動車販売台数
米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会に参加
「波乱の2月を締めくくる」・・・ブルームバーグはそんな見出しを付け、2月最後の取引となった昨日の金融市場を描写していました。ドル円は東京時間では極めて閑散な取引でしたが、欧州市場が開くと、上昇を強め、昨日もこの欄で指摘した「38.2%戻し」の水準をあっさり突破。その流れからNYの朝方には136円92銭までドル高が進み、137円をうかがう展開でしたが、その後にコンファレンス・ボード(CB)が発表した2月の消費者マインドで、センチメントが一変。ドルが下落に転じ135円73銭近辺まで押し戻されています。大きく下落したNY株もやや持ち直し、債券も買い戻され長期金利は前日比やや上昇している状況です。
2月のCB消費者マインドは「102.9」と、前月の速報値「107.1」から大きく低下していました。消費者信頼感の低下は、向こう6カ月の雇用や所得、ビジネス環境に対する悲観の強まりを反映し、インフレは多くが予想していたよりも長期化し、政策金利はさらに引き上げられるとの見通しを映し出しています。「悪いニュースは良いニュース」ということで、株式市場では買戻しが入り、一時3.98%台まで上昇した米長期金利は債券が買われたことで低下し、それにともなってドル円も高値から1円を超える下落になりました。まさに「2月を締めくくる波乱の日」でした。
今年1月に就任したシカゴ連銀のグールズビー総裁は初めての公式なスピーチを行いました。総裁は「経済指標は遅行するため、ニュースへの投資家の即座の反応に頼りたくなるものだ」と指摘し、ただ、「政策当局者が市場の反応に頼りすぎるのは危険であり間違いだ」と述べ、「われわれの仕事は結局のところ、実体経済の動向で判断される」と付け加えています。(ブルームバーグ)グールズビー氏は53歳で、イェール大学出身でその後MITで経済学博士号を取得しており、次期日銀総裁に指名された植田氏と同じような経済学者です。同総裁は「ハト派」とみられており、昨日の発言とも整合しているように思えます。
今日から3月です。東京地方は今日も4月を想わせる暖かい日になりそうですが、今月は日米欧で金融政策会合があります。2月に続いて「波乱の3月」になる可能性もありそうです。今月9-10日にはFRB、ECBに先行する形で日銀の決定会合があります。特に今会合は、黒田氏にとって「最後の会合」となり、その決定内容が注目されています。一部には「YCCの変更を行い、植田体制へのビッグプレゼントを行う」との見方もあるようですが、その可能性は低いとみています。ただ、サプライズが好きだといわれている黒田氏です。「最後のサプライズ」にも一応警戒する必要はありそうです。
ドル円は上昇後に売られましたが、「38.2%戻し」は達成しています。次のターゲットは「半値戻し」ということになり、139円58銭辺りなります。「139円台半ばから140円」という水準が、結局は大きな壁かと思いますが、ここを抜けるようだと、相場観の修正も必要と考えています。ただ、昨日の動きにあったように、「米インフレは依然として低下傾向にある」ことが確認されるようなデータが出ると、一気に円高に振れるリスクはこの先さらに高まりそうです。本日のドル円は135円~137円と昨日と同様のレンジを予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm
・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
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