米3月小売売上高、前月比1.0%減―2カ月連続で減少、市場予想より悪化

経済

2023/4/17 8:21

<チェックポイント>

●自動車・同部品除く売上高も市場予想下回る

●自動車や百貨店、建築資材などが減速、原油安でガソリン価格も下落

●市場、2カ月連続の減少に4-6月期でのマイナス成長に警戒

 米商務省が14日に発表した3月の小売売上高(季節・営業日調整後)は、前月比1.0%減の6917億ドルと2カ月連続で減少し、市場予想の0.4%減よりも悪化した。

 自動車・同部品を除いた小売売上高も、前月比0.8%減と市場予想の0.4%減よりも悪化した。

 前年比は2.9%増と、2月の5.9%増を下回り、引き続き伸びが鈍化した。ただ、過去3カ月間(1-3月)の伸びは前3カ月(22年10-12月期)比1.7%増、前年比5.4%増と、依然、高い伸びとなっている。

 業種別の前月比は、全13業種のうち、前月と同数の8業種が減少した。百貨店やスーパーなどの量販店を含む一般小売販売が3.0%減と最も低い伸びとなり、このうち、百貨店は2.5%減だった。電子機器・家電が2.1%減、ホームセンターなどの建築資材・園芸が2.1%減、グローサリーストア(食品雑貨店)を含む食品・飲料水販売が0.1%減となり、前月からいずれも悪化。自動車・同部品も前月比1.6%減と前月を上回る減少となった。アパレルは1.7%減、家具・生活用品は1.2%減となったが、前月からは減少率が縮小している。

 前月比で増加したのは、オンライン小売の1.9%増、スポーツ用品・趣味・楽曲・書籍の0.2%増、どのカテゴリーにも入らない「その他小売」の0.2%増、外食の0.1%増で、これらはいずれも前月から改善した。上昇業種の大半は物価高による消費金額の増加を反映している。

 また、原油安によるガソリン価格の下落でガソリンスタンドは5.5%減となり、前月の同横ばいから急減。この結果、ガソリンスタンドを除いた小売売上高は0.6%減となった。自動車・同部品とガソリンを除いた小売売上高も0.3%減となり、前月の横ばいから急減したが、市場予想の0.7%減ほど落ち込まなかった。

 ガソリンスタンドと自動車・同部品に加え、建築資材や飲食レストランを除いた、いわゆる“コア小売売上高”(コントロール・グループ)は前月比0.3%減となった。この結果、4月27日発表予定の1-3月期GDP(国内総生産)の約7割を占める個人消費を押し下げる見通し。コア小売売上高はGDPを構成する個人消費支出の財支出に組み込まれる重要な指標。

 市場では、小売売上高が前月比で2カ月連続の減少となったことで、4-6月期にマイナス成長になるリスクが高まったと見ている。他方、最近、企業が雇用や賃金を引き上げ始めたことや、3月下旬は航空や娯楽、外食など多くの業種で売り上げが回復したため、今後数カ月で消費が持ち直すとの見方もある。

提供:ウエルスアドバイザー社

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