【為替本日の注目点】米債務上限問題は膠着

為替

サーチナ

2023/5/10 10:17

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は前日に続き小動き。今夜のCPIを見極める姿勢が強まる中、金利の上昇が支えとなり135円35銭まで上昇。ユーロドルは小幅に下落。市場全体でドルがやや上昇したことで、1.0941まで売られる。株式市場は小幅ながら3指数が下落。債務上限問題や景気の先行きに対する懸念が重しに。債券は小幅に続落。長期金利は3.51%台に上昇。金と原油は揃って続伸。

マーケット情報

ドル/円 134.94 ~ 135.35

ユーロ/ドル 1.0941 ~ 1.0972

ユーロ/円 147.90 ~ 148.21

NYダウ -56.88 → 33,561.81ドル

GOLD +9.70 → 2,042.90ドル

WTI +0.55 → 73.71ドル

米10年国債 +0.011 → 3.519%

本日の注目イベント

日 3月景気先行指数(CI)(速報値)

独 4月消費者物価指数(改定値)

米 4月消費者物価指数

米 4月財政収支

米 バイデン大統領、債務上限について講演

 前日に続き為替市場は小動きで、ドル円は135円を挟み一進一退の動きとなっています。今夜発表される「米4月のCPI」の結果が重要で、結果いかんでは6月のFOMC会合でも追加利上げの可能性も残しており、FRBの金融引き締め政策も終盤に差しかかっていると見られる中、予断を許さない状況となっています。金融を取り巻く環境では、金融不安が完全には払拭されてはおらず、加えて「債務上限問題」が新たな懸念材料として先行きの見通しを不確実にしています。

 債務上限問題についてバイデン大統領は日本時間今朝5時からホワイトハウスで、マッカーシー下院議長と会談を行っています。現時点での詳細は分かっていませんが、ロイター通信は、「マッカーシー下院議長は9月末までの債務上限引き上げに反対」と速報を流しています。議長は短期的な債務上限延長には反対していると事前に伝えられており、バイデン大統領との会談でも直ぐに「上限引き上げ」で合意する可能性は低いとみられています。ホワイトハウスの報道官も「短期的な債務上限延長はバイデン政権の計画ではない」と表明し、その上で、「連邦政府のデフォルトはあり得ない」ことを強調しています。

 今朝の日経新聞1面では「米景気に3つの壁」との大見出しで、「政府債務で駆け引き」、「細る家計の余剰貯蓄」と、そして3つ目に「銀行は融資を厳格化」を挙げています。ブルームバーグも前日同じように3つの根拠を挙げていましたが、その1つに「エルニーニョ現象に気象面の不確実性」を挙げていました。他の2つは同じように今後の米景気の懸念材料として注視しています。その理由の1つである銀行の融資姿勢についてFRBのジェファーソン理事は9日のフォーラムで、「銀行が融資基準を引き上げ始め、それが与信枠を縮小させていることを示すデータを得ている」と発言しています。ジェファーソン氏はその上で、「インフレは鈍化し始め、経済は拡大継続の機会を得るというのが私の見解だ」と述べています。また、6月会合では「利上げ見送り」の可能性もあり、一部には信用不安払拭を理由に、「年内に利下げ」を見込む向きもありますが、NY連銀のウイリアムズ総裁は9日、否定的な見方を示しています。総裁は、「信用状況の推移とそれが成長や雇用、インフレの見通しに与える影響見極めに特に重点を置いていく」と述べ、FOMCは来月利上げを停止するのかとの繰り返しの質問に対して、「政策は会合ごとに定められ、入手するデータによって決まる」と明言を避けています。さらに、利下げに関する質問には、「私の基本的な予想では、年内に利下げする理由はどこにも見当たらない」と答え、「かなり長期間、景気抑制的な政策スタンスを維持する必要があるというのが私の予想だ」と述べています。(ブルームバーグ)また、当局が目標とする「2%に戻すには時間がかかり、2%の目標は2年かけて到達する」とも発言しています。先走る市場をけん制する意味もあるとは思いますが、利下げの実施まで2年もかかるようだと、この先ドルが大きくは下げないことにもつながります。一方で、「直近の過去4回のパターンを振り返ると、最後の利上げから最初の利下げまでの間隔は、平均8カ月半。今回も23年5月の利上げ終了を受けて24年1~3月期の金利引き下げ開始もあり得る」(みずほ証券)といった見方もあります。先週決定した0.25ポイントの利上げが「最後」になるのかという点と、今回のインフレはこれまでとは異なるものであるという点で違和感は残りますが、いずれにしても今夜発表の「4月のCPI」の結果が、その答えを教えてくれる可能性があります。

 今夜9時半に発表されるCPIは、前月比で「0.4%」と、前月の「0.1%」から加速していると予想されています。またコアCPIについては「0.4%」と、こちらは前月と変わらずと見込まれています。

 本日のドル円は134円~136円50銭程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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